2012.6.4 05:02

新藤兼人さん葬儀に400人…柄本明が弔辞

新藤兼人監督告別式

新藤兼人監督告別式【拡大】

 老衰のため5月29日に100歳で死去した映画監督、新藤兼人さんの葬儀・告別式が3日、東京・芝公園の増上寺光摂殿で営まれ、ファンを含む約400人が最期の別れを惜しんだ。

 新藤監督の4作品に出演した俳優、柄本明(63)が弔辞の席に。遺作となった「一枚のハガキ」(昨年公開)の撮影前を振り返り、「監督がスタッフの前で私の役について熱心に説明してくれた時、プ~ッと(監督から)おならが聞こえました」と切り出した。

 「反応したのは(孫の映画監督)風さんだけで、他には誰も…。そして、またプ~ッ。人間は仕事もするけど、おならもする。なんと素晴らしいことか」とひたすら愚直に映画を作り続けた新藤監督をたたえ、「おつかれさまでした!」と遺影に深々と頭を下げた。

 喪主の次男で映画プロデューサー、次郎氏(63)が会葬御礼のあいさつで、独立プロのため借金などで苦労を重ねた父の一生を振り返り、「額に石のつぶてを投げられても前に進む精神を受け継ぎたい」と決意も新たに。

 今年2月の「第54回ブルーリボン賞」の授賞式で監督と初対面した人気子役、芦田愛菜(7)も母親らと弔問に訪れ、冥福を祈った。俳優仲間で後日しのぶ会を開く。

★天皇皇后両陛下から電話

 天皇皇后両陛下からこの日、宮内庁を通じて新藤次郎氏あてに「お悔やみ申し上げます」という内容の電話によるご伝言があったことが、関係者から明らかにされた。新藤監督と親交のある両陛下は昨年7月、都内で行われた「一枚のハガキ」のプレミア試写会に出席され、天皇陛下が「最後に救いがあるのがいいですね」という感想を述べられていた。

映画「ふくろう」でヌードを披露した女優、伊藤歩(32)「監督からオーディションで『脱げますか? 象徴的なシーンで若いエネルギーが必要』と言われ、『はい』と答えたのを思い出します。一つ一つ積み上げるように演出してくださいました」

映画「三文役者」「一枚のハガキ」などに出演した俳優、大杉漣(60)「ユーモアを交えた人を見る目は優しく、気持ちで撮り人を動かす監督でした。映画作りに苦しむ姿は本当に美しかった」

(紙面から)