■ 在日外国人「居住地不明」 3割超も
9日から外国人登録証廃止など日本で暮らす外国の人たちの制度が大きく変わります。住民票も発行されますが、全国の自治体が調べたところ、住んでいるところが把握できない外国人が多いところで約3割にも上ることがわかりました。こうした人たちは在留資格を取り消される可能性もありますが、専門家は仕事を転々とせざるを得ない労働環境を理解し慎重に判断すべきだとしています。
「外国人登録証が制度としては なくなり、『在留カード』を持つことになる」 1日、千葉県の教会で今月9日から始まる新しい制度の説明会が開かれました。集まったのは日本で暮らすフィリピン人などおよそ60人。会場からは質問が相次ぎました。 「『在留カード』は何年(更新)ですか?」(参加者) 「在留資格ごとに違いますが、永住の人は7年(更新)」 新しい制度では外国人登録証が廃止され、国が一元管理する「在留カード」が発行されます。不法滞在などを防ぐのが狙いで、在留資格のない人にはカードは発行されません。その一方で、正規滞在の人には日本人と同様に「住民票」が作られます。 ところが、制度の開始が迫った今、自治体の担当者に困惑が広がっています。山積みになった封筒・・・山梨県の甲府市では居住実態の確認のため外国人登録上の居住地があるおよそ3800世帯に「仮住民票」を送ったところ、187通が「宛先不明」などで返送されてきました。 「(本人の)不利益になりますし、住民サービスの低下にもなりますし」(甲府市役所 市民課住民記録係 石山なぎさ係長) このままでは住民票を作ることはできず、在留資格が取り消される可能性もあるため、職員が1軒1軒を周って調査を行っています。 「(訪ねても)ほとんどいないとか、人がかわっていることが多い」(甲府市役所の担当者) こうした状況は全国の自治体で相次いでいます。JNNの調べでは、東京の豊島区や新宿区では仮住民票などが返送された割合がおよそ3割にも上り、中野区や杉並区などでも2割を超えています。そのほかの政令市では、横浜市がおよそ15%、浜松市で12%、大阪市でも5%が返送されてきました。 外国人問題に詳しい国士舘大学の鈴木江理子准教授は仕事を転々とせざるを得ない外国人の労働環境が背景にあると指摘します。 「ほとんどがやはり非正規雇用で、非正規(雇用)の場合は雇用期間が終わった後、継続して(仕事が)あるか保証はなく、次の仕事を探して別の所に移る」(外国人問題に詳しい 国士舘大学 鈴木江理子准教授) 住民票が作られなかったり在留資格が取り消されたりすれば影響は大きいのですが、まだ制度が変わることすら知らない人もいるといいます。鈴木准教授は日本で暮らす外国の人たちの視点に立って自治体側は対応してほしいとしています。(02日14:08)
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