挺対協は北朝鮮の工作機関と連携して日本非難の運動を進めてきた。
北朝鮮は1992年2月平壌で開かれた南北首相級会談で韓国首相に慰安婦問題に関する南北共同行動を提案し、同年8月、挺対協のカウンターパートになる「朝対委」(朝鮮日本軍慰安婦および強制連行被害者補償対策委員会)を組織した。朝対委は朝鮮労働党の工作機関の一つである統一戦線部のダミー組織だ。
同年12月東京で開催された「従軍慰安婦」等国際公聴会で挺対協と朝対委の最初の出会いが実現し、それ以降両者は共同で「慰安婦=性奴隷」という政治宣伝を展開した。
挺対協は東京や北京などの国際会議で朝対委との連携を強め、2000年の東京で開かれた「女性国際戦犯法廷」では昭和天皇らに対する「起訴状」を南北共同で作成し、2002年5月朝対委が開いた平壌での国際会議に挺対協代表が参加した。
挺対協役員の家族、親戚には韓国当局から国家保安法違反で逮捕された人物がいる。
挺対協の現在の常任代表尹美香は2007年5月のソウルでの会議で、「慰安婦問題解決のために南北が15年間連帯してきた」(水原市民新聞5月23日)と自慢げに語ったが、彼女の夫の金三石は妹金銀周とともに、1993年兄弟スパイ事件で逮捕された。
金三石は懲役4年実刑判決を受け、金銀周は懲役2年、執行猶予3年でやはり有罪判決を受けた。二人は日本で郭東儀(反国家団体韓民連幹部)、李佐永(鬱稜島スパイ事件首謀者)と接触したことが明らかにされている。
その上、金銀周の夫、崔キヨン民主労働党事務副総長は、北京で北朝鮮工作機関である対外連絡部のユ・キスン副部長らと接触していたことなどが発覚して2006年「一心会スパイ事件」で逮捕され、懲役3年6ヵ月の実刑判決を受けた。崔キヨンは朝鮮労働党を「我らの党」、金正日を「偉大な将軍様」と呼んでいたという。
昨年12月金正日が死亡した際、挺対協は次のような弔電を打った。
〈日本軍慰安婦問題と日本帝国主義の過去史の正しい清算のために、南北女性たちの連帯がより一層切実な時に、金委員長の逝去で大きい悲嘆に暮れている北の同胞を考えると哀悼の心を禁じることはできない。北の同胞が一日も早く悲しみに打ち勝って立ち上がり、平和統一の門をともに開き、日本軍慰安婦問題と日帝の過去史清算のためにより大きい歩みで手を握って進むことができることを切望する〉
今この瞬間にも、脱北女性らが数万円で中国の農村に売られ、「性奴隷」にされている。なかには逃げられないように鎖で足を縛られている女性もいる。これは北朝鮮と中国の両独裁政権の共犯で行われている許し難い人権侵害だ。誰が本当の敵なのか、うそをまき散らす勢力の背後に誰がいるのか、そのことを心に刻みながら本稿を書いた。
(おわり)