元東邦大准教授:論文172本のデータ捏造、学会が認定
毎日新聞 2012年06月29日 22時13分(最終更新 06月29日 22時19分)
200本の共著論文の多くに名前を連ねた藤井医師の上司について調査委は「捏造に関与しなかったとはいえ責任は重大だ」と指摘した。
投稿先は、麻酔学だけでなく多分野の40以上の専門誌。投稿先を使い分け、一つの雑誌に投稿が集中し疑われることを避けたと見られる。
「あたかも小説を書くごとく、研究アイデアを机上で論文として作成した」。調査報告書はこう結論づけた。会見で澄川委員長は「想像をはるかに超える。研究者としての良心がまひしている」とうめいた。
◇論文の不正行為◇
文部科学省が06年に作成した対応ガイドラインは、不正行為を▽データや調査結果のでっちあげ(捏造)▽改ざん▽盗用−−と定義している。論文が学術誌に掲載された場合、論文は撤回される。著者は所属先から懲戒処分を受け、公的な研究費が支給されている場合は返還を求められたり新たな申請を認められないなど制裁を受ける。文科省によると、07年以降で不正行為が認められ、研究費不交付などの処分を受けたのは5件。