元東邦大准教授:論文172本のデータ捏造、学会が認定
毎日新聞 2012年06月29日 22時13分(最終更新 06月29日 22時19分)
藤井医師への調査は3月と6月の2回実施。共著者36人にも面接または書面で調査した。藤井医師は論文の根拠となるデータの提出に応じない一方、「捏造はしていない」と反論している。
論文の多くは、手術後に生じる吐き気を抑える薬の効果を動物や人間で調べたもの。対象者がいたはずの病院に残る過去の記録と、藤井医師の論文に登場する数を比べ、数が合わないものは「捏造」とみなした。ある論文では実際には59例しかなかった乳がん手術が700例に増えていた。
学会はこの調査結果を専門誌側に報告する。捏造が認定された論文はすべて撤回される見込み。また藤井医師は公的研究費など440万円を受けており、それらと不正との関わりについて関係機関が今後調べる。
約20年間も不正が見逃された原因について、29日記者会見した調査特別委員長の澄川耕二・長崎大教授は「周辺では(不正の)うわさがあったようだが、学会として告発を受け付けるシステムがなかった。今後は告発を受けて調査する態勢作りを進める」と述べた。藤井医師は東邦大から2月末付で諭旨退職処分を受けているが、学会内での処分は8月に決める。