立山連峰:日本初の「氷河」、学会が認定
毎日新聞 2012年04月04日 02時30分(最終更新 04月05日 00時41分)
日本雪氷学会(東京都)は、立山カルデラ砂防博物館(富山県立山町)が北アルプスの立山連峰で見つけた氷体を日本初の「氷河」と確定した。氷河はこれまで、ロシア・カムチャツカ半島以南の東アジアには現存しないとされていた。同学会の藤井理行(よしゆき)前会長(65)は「日本のように温暖なところで氷河の存在を確認するのは、大きな発見」と評価している。成果は5月発行の学会誌「雪氷」に掲載される。
氷河は、重力で長期にわたり連続して流動する雪氷体のことをいい、雪氷学会が国内唯一の認定機関となっている。立山連峰は冬の降雪量が圧倒的に多く夏の気温も低いため、氷河形成の条件が整っているとされていた。
同博物館は09年から調査を開始。表層(15〜20メートル)の積雪をドリルで掘り、氷体に達するまで穴を開けてポールを挿入。その位置を昨年9月と10月にGPS(全地球測位システム)で測定し、氷体の移動距離を測った。その結果、剱(つるぎ)岳(標高2999メートル)周辺の三ノ窓雪渓や小窓雪渓、雄山(同3003メートル)周辺の御前沢雪渓で32〜7センチの動きを確認した。データは雪氷学会が検証し、今月1日に氷河と確定した。