「ヤフー:540億円申告漏れ…子会社買収 不服申し立てへ(毎日より)」
企業会計
ヤフー:540億円申告漏れ…子会社買収 不服申し立てへ
ヤフーが、ソフトバンクからの子会社買収が節税目的だったとして、約540億円の申告漏れを国税局から指摘されていたという記事。ヤフーは国税不服審判所に申し立てるそうです。
「同社によると、東京国税局が問題視したのは2009年2月にソフトバンクの子会社「ソフトバンクIDCソリューションズ」を買収した取引。事業目的ではなくソフトバンクの資金需要に応えるための形式的なもので、
買収額についても不当に引き上げられていると指摘されたという。」
「ヤフーとソフトバンクの契約に基づき、
追徴課税額約265億円はソフトバンクが負担する。ソフトバンクは事業税などを差し引いた約248億円を10年4〜6月期に特別損失として計上する。」
ソフトバンクIDC ソリューションズ株式会社合併に関する更正・決定通知書の受領について(PDFファイル)(ヤフーのプレスリリース)
ヤフー株式会社における更正通知受領について(ソフトバンクのプレスリリース)
ヤフーのプレスリリースによると、この件は、平成21 年2 月にソフトバンクIDC ソリューションズ株式会社(IDC)を子会社化し、同年3 月に同社を吸収合併(「本合併等」)したことに関連するものだそうです。具体的には、以下のような指摘を受けているそうです(それぞれ会社による反論がなされていますがそれは省略)。
・東京国税局は、当社が本合併等を事業上の必要性から積極的に進めたものとは認められないと指摘している
・東京国税局は、本合併等について
初めから決められた一連の取引であると指摘している
・東京国税局は、IDC の
買収価格の算定が、
見込みのない収益予想等の実態と異なる基礎資料に基づいて行われていたと指摘している
・東京国税局は、平成20 年12 月に当社代表取締役である井上雅博がIDC の取締役副社長に就任していることについて、
繰越欠損金引継ぎの要件を満たすための形式的なものであったに過ぎないと指摘している
・東京国税局は、本合併等は初めから決められた一連の取引であり、当社によって引き継がれたIDC の
繰越欠損金を使用して減少した税額をソフトバンクの資金需要を満たす目的で買収対価に上乗せした、
異常・変則的な行為であると指摘している
国税局の指摘をうのみにするのも危険ですが、仮に指摘が正しいとすると、ヤフーは、事業上の必要性もないのに、危ない節税スキームを反映した不当に割高な金額で親会社であるソフトバンクから会社を買収したという、会計的にも問題のある取引となります。
実態はどうだったのでしょうか。
また、ヤフーのプレスリリースによると、6月30日に東京国税局より更正する旨の通知を受領したとされています。
この税金を実質的に負担するソフトバンクは、2010年3月期ではなく、2011年3月期第1四半期に、約265億円の追徴税額を過年度法人税等として計上するようです。
税務調査の指摘をいつのタイミングで決算に織り込むのかは、非常に難しい問題ですが、何らかの理屈があるのでしょう。
(補足)
・適格合併が行われた場合、その合併法人は、被合併法人の欠損金額を引き継ぎ損金算入できます(法人税法57条2項)。ただし、その適格合併が欠損金額の引き継ぎだけを目的とするような場合には、引き継ぎは認められません(同条3項)。
ヤフーは、いったんソフトバンクIDCソリューションズを100%子会社にしたのちに合併したということで、欠損金を引き継げる適格合併として扱ったわけですが、それを税務当局は欠損金引き継ぎだけが目的だと判断したことになります。
・ヤフーの有報によると、ソフトバンクIDCソリューションズの購入金額は450億円です。その半分以上が税効果だったことになります。