空我「相変わらず観戦」
旅館での戦いから、少し経った。
なのははぼうっとする事が増えてアリサと喧嘩してしまった。
まあ、これは案外早く解決してしまった訳だが。
俺は大した助言も出来なかったが……更下や神楽の手伝いのお陰だろう。
原作じゃそこそこ時間がかかった記憶があるが……これが原作介入の効果か。
そして、しばらくして。
「……おー、こりゃ壮観だ」
なのは陣営とフェイト陣営の第3ラウンド。
なのは陣営。
高町なのは、ユーノ・スクライア、神楽美貴、輝宮甲。
フェイト陣営。
フェイト・テスタロッサ、アルフ、ザ・ワールドを持つフードを被った少年、長谷部龍平。
ていうか何で長谷部はそっちにいるんだ?
……あー、大体解った。
なのは陣営についたら転生者が3対1になってしまう。
流石にそれは不公平だろう、という訳だ。
「……改めて、自己紹介させてもらうね。私、高町なのは。聖祥大付属小学校3年生。教えて、どうしてジュエルシードを必要としてるのか!」
声高らかに、なのはは言葉を紡ぐ。流石主人公。なかなかのカッコ良さである。
「……」
「フェイト、言わなくて良い!」
黙り込むフェイトに、アルフは強く言う。
「こんな日常のぬるま湯に使ってるような奴に、言う必要なんて無いよ!」
ぬるま湯、か。確かにその通り。だけど、そんなので引き下がるなのはじゃない。
「……」
お、フード被った奴の後ろにザ・ワールドが出現。
長谷部もファイティングポーズをとった。
フェイトも、バルディッシュを構える。
神楽も剣を構え、輝宮はデバイスを太刀の形状にして構える。
なのはもレイジングハートを握り直し、相手に向ける。
一瞬の沈黙。
そして、一斉に激突した。
なのはの桜色の弾幕とフェイトの金色の弾幕が空を飛び交う。
神楽の振るう刃はザ・ワールドの振るう拳とぶつかり合い。
輝宮は素早い太刀筋で相手を追い込もうとするが、長谷部も四肢を巧みに使いこなしてそれを何とかいなす。
……これもう戦争で良いんじゃないかな。
3対3なのに何でこんなに白熱してるんだ?
つーかあんたらジュエルシード忘れてないか?
こんな派手にドンパチしてたら……。
『Divine shooter!』
『Photon lancer、full auto fire!』
……もうやだ。
何だよその弾幕!特になのはさん!あんた本当につい最近までただの一般人!?間近で見てると才能ってレベルじゃないよ!?あんまり進歩出来てない俺に対するイジメですか!?タタるぞ!?割と切実に!
「波動拳!」
「甘いな!行くぞシリウス!」
『Gunlance mode!Fire!』
輝宮が長谷部の魔力弾を器用にかわす。
そして、デバイスの形状を太刀から槍へと変えると、その穂先から砲撃を放って相手を攻める。
……つか、ガンランス?
……あーなる程。輝宮のデバイスの元ネタ、モンハンなのか。
もしかして全武器に変化できるのかそれ?器用なこった。
「ふっ、やっ、はっ!」
「っ!ザ・ワールド!」
『無駄無駄無駄!』
おー。
神楽が距離を相手から取り、魔力を飛ばして牽制している。
まあ、旅館じゃ瞬間で……おそらく時止めでやられちまったからな。それの対策、って訳だ。
「喰らえっ!」
「っ!」
ザ・ワールドに弾を持たせ、ぶん投げさせる。
神楽は魔法の足場も使い、何とかかわす。
……ほんと凄い闘いだな。
見てるだけでもだいぶ楽しめる。
なのはとフェイトが向かい合った。
互いにデバイスを相手に向ける。
その2人の間にはジュエルシード。
……嫌な予感が、こう、ひしひしと。
『Divine bastar!』
『Thunder smasher!』
砲撃かよ!?
おい待て只でさえ転生者が介入して周りでドンパチやらかしてんだぞ!?
そんなとこでバカ威力の砲撃なんかやらかしたら……!
カッ!
2つの膨大な魔力が激突した瞬間。
眩い光が辺り一面を照らし、それと同時に物凄い衝撃波が発生した。
……離れといて良かったー……。
すげー威力じゃんあれ。
一番ジュエルシードの近くにいたのは輝宮なんだけど……大丈夫かあいつ?
「止まれ……止まれ……!!」
お、フェイトが素手で封印しようとしてる。どうやらバルディッシュは潰れてしまったらしい……。
ドクン!
ふと、俺の中でナニカが脈打った。
「ガッ、あ……!」
息が苦しくなり、心臓の鼓動が痛いほど頭に響いてくる。頭がクラクラする。
ハヤク。
ナニカが、訴えてくる。
ハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤク。
何を……早く、しろ、ってんだ。
決マッテイルダロウ?
……ああ、解ってる。
血、だ。
無理に封印しようとしてるフェイトの手から出ている、血だ。
赤クテ朱クテ紅クテ。
美味シソウデタマラナイ。
ハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤク。
「ガ、アア……!」
うるせえぞ、こら……!
俺が血を吸って何らかの影響を出してしまう訳にいかない。
誰かを吸血鬼にしてしまえば、それだけでもうこの物語は崩壊の可能性が一気に増してしまう。
「「止まれええええ!!」」
……良かった。あのフード野郎の協力もあって、何とかフェイトは封印出来たようだ。
疲労で倒れ込む彼女をザ・ワールドが支え、それから長谷部を除くフェイト陣営は去っていく。
「なのは!大丈夫かい!?」
「う、うん……だけど、あの3人が気絶しちゃってて……!」
「……良かった、命に別状は無いみたいだ。だけど、彼……甲、だっけ?彼はちょっとだけキツいね……とりあえず、結界を解いてから救急車を呼ぼう」
「う、うん。解ったの」
……問題無し、か。
良かった……。
く、吸血衝動は、抑えてたはず、なのにな……。ここ最近無かったから、油断、してたか……。
家に……帰ろう。
身体を……休めないと。
相変わらず空我は観戦中です。
こいつ本当に主人公なのか……?
いや、いつか主人公の素質を見せるはず……!!
そして、吸血衝動。
いつもは抑えていたのですが、今回は油断していたこともあり、一時的に苦しむこととなっていました。
力を使えば使うほど、血が欲しくなっていく感じです。
そりゃ、戦いたくないわな(笑)
3人も負傷してしまいました……ま、大したものではない、です……多分。
次回は、司かな?いよいよ覚醒でしょうか。
ペルソナアンケートや感想、お待ちしております!!
では。
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