空我「温泉……」
「……」
温泉旅館にて。
俺は部屋の隅で寝転んで、他のみんなが談笑するのを眺めていた。
なのは、アリサ、すずか、神楽、更下、吾郎。
まさかの一緒の部屋である。
良いのか男女同室で。……ああ、まだ9歳でしたね俺達。吾郎さんだけは11歳だけど。
んー……結構めんどくさいな……。確かジュエルシードここにも有るよな?んで、それを巡ってなのはとフェイトがまた争う事になる。
なのはと神楽がこの部屋を出るのは確実、吾郎の兄貴も多分原作介入さえしないとはいえ、不測の事態に備えて妹分を見守りに行くだろう。
よって、夜中に3人が外へこっそり出ていくって訳で。
俺も原作を眺める為には、その3人より後に部屋を出なきゃならない。
……流石に、少しの間を空けてるとはいえその人数が出ていったら他の奴等を起こしかねない。それは非常に困るんだよね。
……まあ、情報化すればバレないかな……。
「ちょっと、あんただけ何でそんな離れたとこにいんのよ。こっち来なさいよ」
「気にしなくて良いんでやんすよアリサちゃん。あいつは一匹狼のツンデレですから」
「一匹狼ってのは言われてしまっても仕方無いのは解るけどツンデレってのは違うと言わざるを得ない」
アリサが俺に話しかけ、更下が続ける。っていうかツンデレ要素なんざ俺には程遠いよ。まさにそこの金髪少女がそれだよ。
「あんた今失礼な事考えなかった?」
「んな事は無い」
無いったら無い。
「……まあでもせっかくでやんすし……ちょっとは話そうや、夜泣き空我君」
「うん、確かに漢字の読み方を考えればだいぶ近い方ではあるが、しかし更下。人を完璧に馬鹿にしてるような名前で呼ぶな。俺の名前は夜凪空我だ」
「失礼、噛みました」
「違う、わざとだ」
「噛みまみた」
「わざとじゃないっ!?」
「ファミマ見た?」
「旅館に来といてファミマの場所確認する必要がどこに!?」
「神はいた」
「あ、それは確かに」
「噛みました。ガブッ」
「いってええええぇぇえぇ!?ふざけんなこんにゃろう!!」
「ぎゃふあっ!?」
一通りのコントをしてから、締めに更下をぶん殴る。
……うわ、歯形がくっきり右手に付いてるよ。どうしてくれんだこのクソ野郎。
「……ぐふっ……やるでやんすな、空我……俺の愛情表現に対してなかなか過激な返事ですぜ……」
「お前のあれを愛情表現と感じられる奴がいたら連れてこい。そいつとお前もろとも殴って頭を矯正してやらねばならん」
っつか、愛情表現ならせめて甘噛みじゃね?……うえ、想像したら嫌な感じしかしねぇ……想像して後悔した……。
「……なんと言うか……更下君が殴られるのにも見慣れてきたかな……」
「にゃはは……」
「……まあね……」
「はあ……」
すずかの言葉に、なのは、神楽、アリサの順番で苦笑、もしくは溜め息をつく。
っつか、更下が殴られ慣れてるのは大部分が後半2人のせいだよな。……まあ、別に良いけどさ。
「……ま、せいぜい頑張りな。モテない王子さん」
「やめてヘコむ。マジでヘコむ」
俺の言葉に急に涙目になる更下。あれ、案外豆腐メンタル?
「まあ、安心しなよ。輝宮よりかは絶対にモテる。それはあたしが約束してあげる」
「あんな奴と比べられても……グスッ」
うん、神楽。慰め方が悪かったな。比較対象が悪すぎたんだ……。
「はは。良い友達持ってるな、なのは」
「にゃはは、でしょ?」
結局、俺も参加して話は進むのだった。
……まあ、悪くないよな。こういうのも。
……さて、温泉である。
ちなみにここは、10歳以下なら男湯女湯どっちに入っても良いらしいのだが……。
吾郎さん→当然ながら男湯。
更下→女湯に入ろうとしたがアリサと神楽の働きにより阻止、泣く泣く男湯に。
俺→入っても良いとよりによってなのはに言われてしまった。が、なのはの兄貴陣の事もあるし、お断り。男湯。
となりました。
あ、後ユーノもかっさらってきた。こいつも男なんだし。
……この事でなのはさんに涙目で見られたが、我慢だ。
……うお、広いな。
「お、そだユーノ。体洗ってあげるぜい、こっちこっち」
更下がユーノと戯れながら体を洗い、俺は身体を一足先に洗い終え、湯船に浸かる。
「……ふいー」
やっぱ気持ちいいよね、温泉って。
(……よう、念話で失礼するぜ)
隣を見れば、少し離れた所で吾郎さんが温泉に浸かっていた。
(どうも。ご無沙汰してます)
(おう。……前俺はいなかったが、どうだ?月村家に行った時……確か、イベント無かったか?)
(ああ。フェイトとの初戦闘があった。まあ、そっちは問題じゃない……今日、またフェイトとの戦闘がある)
(……そうか。俺等の他に転生者は……?)
(なのは側にゃ、さっきも喋ってた神楽って奴。フェイト側にも、1人ってとこだな)
とにかく、フェイト側の奴がヤバい……時止めなんざどうしろっつうんだ?前回は何故か輝宮が強かったから良かったものの……今回はいない。神楽じゃ少し不安が残る……相手側が良識ある奴である事を祈るしかない。
(……ちなみに、なのはには自分が魔道士だって言ったんすか?)
(いや。てめえも言ってないのか?)
(うん。ま、傍観に徹するだけだし……今回もまた、2人別々に見守るとしますか)
「おーい、お二人さーん」
そんな感じで念話で会話していると、更下が話しかけてきた。
「どうした?」
「うん、女湯ってどうやったら覗けるでやんすかね?」
「「………………」」
「……冗談ですすみませんだから特に吾郎さんそのハイライトが完全に消えた眼差しは止めてください」
夜。
真っ暗な部屋に、スヤスヤと寝息だけが響く。
……んー、しかしなかなか起きてられるもんだな……やっぱ吸血鬼に近い体してるからか?
とと。
もぞもぞと音がして、気配からして2人程起き上がった。多分、なのはと神楽だ。
そして2人が出て行って数分、今度は1人が起き上がり、外へ出て行く。……これ、吾郎の兄貴か。
それからさらに数分。
念の為に自分の身体を情報化しておいて、それから部屋の外へ出る。
……さて。
どうなるかな?
……もう、こっちがメインで良いんじゃないかな……?
というわけで、温泉です。
むむむ、ハプニングは無理だったか……どうしようかな……残ってる奴は……。
ふうむ、どうしようか、悩みますね。
空我の視点より、戦闘前のほのぼのです。
ほの……ぼの……?
最早ギャグになってる気も。
……どうしてこうなった。
次回は……貞明かな?
なのはVSフェイト第二段の予定です。
感想やツッコミ、お待ちしております!!
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