空我「めんどくさいな……」
「……朝、か」
自分の部屋にて、俺は目を覚ました。
昨日はいろんな意味で散々だった。
ただ原作を眺めようとしていたら訳の解らん転生者3人組に言い掛かりをつけられて襲われる。
まあ、また別の転生者……長谷部龍平に手伝ってもらったお陰で事なきを得たが。
っつか、やっぱ転生者は結構多いようだ……やれやれ、これは非常にめんどくさい事になりかねない。
そう考えながらも、服を着替えてリビングに行き、家族と一緒に朝飯を食う。
考えてみると、転生者には大体2つほど勢力が存在すると思われる。
まずは、原作を知っているにしろ知らないにしろ、何らかの理由で原作介入を積極的に行う奴。神楽とかがこれに当たるだろう。
そしてもう1つが、原作を尊重、もしくはめんどくさがりの為に介入しない奴等。俺とかがこちらに入るだろう。
そしてそれぞれの中に、穏健派と過激派が存在するはず。
この2つは名前のまんま、他の転生者を目の敵にするかしないか、だ。
いつも通りの家族とのやりとりを終え、通学路を歩く。
一見、本当に前世と変わらないいつもの世界だ。
だけどその裏で結構ヤバい事件起きまくってんだぜ?信じにくいよな。
そんな事も思ったりしながら、学校に着く。なのはさんはまだ来ていない、じゃあ今の内に早速昼寝と洒落込みますか。
「来て早々に寝ようとするってのはどうなのよ」
……見事妨害されました。おのれアリサ・バニングス。
「良いじゃん別に……」
「良くないわよ」
「俺は夜型なんだ、マジで勘弁」
なんて言っていると。
「おはよー!」
「おはよーでやんすよーアリサちゃんに空我ー!」
……はあ、来ちゃったよ……。
「よー、なのはにモテない王子ー」
「地味にヘコむー!」
俺の隣の席の魔王に、騒がしい茶髪ツンツン頭。
もうこれだけで俺の昼寝時間が無くなる事が確定である。
「何だろ、今失礼な事を思われた気がしたの」
「気のせいだね」
そう、なのはの気のせいだ。
俺は何もやましい事はしていない。
してはいないのだ。
……そうそう、さっきのグループ分けの話だけど。
実は完全に2つに分かれる、というと嘘になる。
考えたくはないが、かといって完全に居ないとは言い切れないグループ。
原作崩壊派だ。
要するに、原作の流れをことごとくぶち壊そうとする奴等。
原作主要キャラの殺害などをやりかねない奴等だ。
……幸い、まだそういう奴等にはお目にかかっていない。が、いつ会うか解ったもんではない。
そいつ等が取り得る最悪の行動パターンの1つが、原作の悪役キャラと手を結ぶ事だ。
まだ先の話になるが……どこぞのマッドサイエンティストなどと組まれた時には厄介極まりないだろう。
だから、こちらとしても出来るだけ転生者仲間は集めておきたい所。
昨日会った長谷部って奴は良い感じだと思う。また今度、話せるときは話してみるとしよう。
後、吾郎さんもだな。妹(義理)であるなのはが殺されるかも、なんて聞かされたら間違いなく食いついてくるはずだ。
この2人はまだ原作介入を派手にしていないから良いものの……結構介入している神楽はどうしたものか。
まあ、あいつは話せば解ってくれそうだ……問題は。
問題は、来た瞬間に原作3人組を口説き始めて微妙な表情をされた挙げ句、王磁と取っ組み合いを始めた、十中八九転生者であろう人物、輝宮甲。
こいつは協調性が間違いなく無い。
無いったら無い。
しかし戦力は多い方が……。
……っつか、何で俺こんな悩んでるんだ?
俺は本来原作の成り行きを傍観する立場だろ?
何で作戦考えてんの?
……はぁ。
「……不幸だ」
「いやー、やっぱ凄いなこれ」
日が変わって土曜日。
メイドの軍団を見た後で、俺は思わず呟いていた。
そう、只今月村邸にお邪魔しているのだ。
つーか、インパクトデカい。前世じゃこんな縁なんざこれっぽっちも無かったからな。
「空我ー……今俺、めっちゃ感激してるでやんすよ……!」
「そうかい」
王磁、そんな涙を流さんばかりの表情を浮かべられても。リアクションに困る。
お呼ばれに応えたのは、俺と王磁、後なのはとアリサだ。
まず、トラブルメーカーになりかねない甲さんは呼ばれなかった。
それから神楽……あいつも呼ばれたらしいが、今日は用事があるとかで断ったらしい。
というか。
「猫多っ!?」
そうだった。
忘れてたけど、月村家には大量の猫がいたんだった。
まあ、嫌いじゃない。むしろ好きな方なんだが……。
全員に避けられると流石にヘコむわ……。
理由は明白。おそらく、俺のただの人間じゃない身体だろう。
どこまで人間でどこまで吸血鬼化してるのかは解らないが……十分、異端の類だ。
つか、王磁。お前は何だかんだで猫に懐かれすぎじゃないか。動物に好かれやすいのか。
……まあ、どうでも良いんだが。
そんなこんなでお茶会タイムである。
「今日は誘ってくれてありがとう」
「うぅん、なのはちゃん、最近少し元気なかったから……」
「もし、心配事があったら話してくれないかなって」
「1人で抱え込んでいても、あんまり意味無いでやんすよ」
「すずかちゃん……アリサちゃん……王磁君……」
言えないよなー。
普通、魔法なんて信じるかと聞かれればNOなんだから。
当然ながら俺も前世では信じてませんでしたよはい。
ていうか……やはり王磁は転生者じゃないのか……?
いや、まだ解らない。
……!
この気配!
そのすぐ後に、フェレットモードのユーノが外に走っていった。
「ユーノ君?」
「何か見つけたのかも?ちょっと探してくるね。すぐに戻ってくるから待ってて!」
それを追いかける形で、なのはも外へ出て行く。
……ちょっと時間を置いてから。
「……さーてと、お嬢様を手伝って来ますかね」
俺も立ち上がる。
「え?でもすぐ帰ってくるって……」
「あのなのはだ、トロくてこけてないとも限らないしな……」
「んー、じゃあ頼むでやんすな空我ー。俺のなのはちゃんに傷ついてたら許さないよ?」
「別にお前のじゃねぇだろ」
……ツッコんどいてあれだけど、ついてこないのか?こいつ。「なのはの為ならどこまでも行く!」なんて言いそうなのに。
……相変わらず解らんな、こいつ。
まあ今はいいや。
今回のイベントはちと今までとは違う、見逃す訳にいかないしな。
さてさて。
どんな脚本になってるのかな?
あれ、転生者がめちゃくちゃ多く感じるよこの書き方だと。
実際にはそんなに多くはないです、はい。……多分。
そして空我がすっかり苦労人ポジションに……ホント何でこうなった?
ま、いいや(オイ
さてさて、次はやっと原作キャラが新たに一人登場ですよ!
テンション上がってきた!
好きなキャラなもんで……ええほんと。
感想とか、お待ちしております!!
では。
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