手の平に心が置かれた日
ちょうど 一年前
千葉動物愛護センターに 私は訪れた
動物の悲惨な現状を知り 奮い立った気持のままに
1匹の 3ヶ月になる 子犬をそこで 保護した
人の気配が すると固まり
人が近づくと 怖がり
人が触れると 放尿と脱糞していた このシロは
当時 ボラの人でさえ『こんな怖がりな子は他にいない』という 評判で
敬遠され 3ヶ月の間 誰の引き取り手もなく センターで(売れ残っていた)子だ
家に連れて帰り 逃げまとう シロに (お手)を しつけようと 頑張ってみる
壁の隅で 石のように固まり ガクガク震えて それどころではない・・
あまりの緊張からか 血便が1週間続く・・
保護2ヶ月目
無理やり首輪とリードをつけて 散歩に出そうとしてみる
首を くの字に曲がらんばかりの 猛抵抗・・
頼む 言うことを聞いてくれ・・ と呟く・・
保護4ヶ月目
固まった シロを抱き上げて みる
半狂乱に なって 放尿と脱糞・・
いい加減にしろ!
心で 怒鳴っている 私がいた・・
保護六ヶ月目
庭に放してるときの 大雨で 風邪をひくぞ!と 家に入れようとする
呼んでも 追っかけても 逃げ惑い お互い びしょ濡れ・・
おれが いったいお前に なにをしたというんだ!?
さすがに この時は 大声を張り上げてしまった・・
この世に 生まれ落ちていなや
母もいず 帰る家もなく
気がついたら 怖い怖い センターで 周りの大きな犬に威嚇され
来る日も 来る日も 壁の隅っこで 固まって過ごした 3ヶ月・・
受けるべき 母からの 愛情も貰えず
覚えたことは 人から逃げること・・
知ったことは 部屋の隅で固まること・・
お前・・
そんなんで 里親さんが来てもらえるか?
そんなんで 生きててもしょうがないじゃん!
仕事で クタクタで帰宅して 相変わらず逃げまとう シロに
こんな言葉が 毎日のように 飛び交う・・
使命 責任 落胆 挫折
こんな1年だったように思う
そして3月の大地震の日
だいじょうぶか!
と叫びながら 家に戻ってみた
緊張した面持ちで 私に近づいてきた
いや・・ 初めて自分の意思で サークルから出たぁぁ!
たったこれだけの ことが私にとっては 歓喜だった
地震の怖さが 彼の何かを 吹っ切らせたのか?
そんなこと どうでもいい!
もう 大丈夫だ! 怖かったなっ がんばったなっ!
と言いながら 初めてシロは 頭を撫でさせてくれた・・・ 涙
現代が生んだ落とし子・・
捨て犬は 持ち込まれ
野良犬は 連れ込まれ
親もいない 家もない 夢もない
あるのは 孤独と恐怖だけの わんこ
あるのは 痛みと殺処分だけの わんこ
そんな 体験と運命を 子犬たちは 無邪気に悟り その体を 震わせる・・
そして その凍るような恐怖心は 芯まで宿り
その悲しみの深さを 1年という時間の中で シロは私に教えてくれた
(お手)を するという こんな簡単なことが
こんなにも 大変で こんなにも 感動することだということを・・・
1 ■すごいですよ。
愛情と努力の一年でしたね。でもシロちゃんはホントに恐怖の中から生還できたから、良かったです。