ホッとニュース 【7月1日02時41分更新】

輪島朝市で食べ歩き 七輪ずらり、新企画

七輪から漂う香ばしい匂いに足を止める観光客=輪島市河井町の朝市通り
 輪島朝市の新たな誘客の仕掛けとして、輪島市朝市組合は、観光客が新鮮な魚介類を道 端で焼いて味わえるよう、延長約360メートルの朝市通りに七輪を並べる。同組合が3 月に試験的に2基を置いたところ、思いの外、観光客の受けが良く、秋口以降に10基程 度まで増設することにした。「買うてくだー」と、おばちゃんの元気な売り声が飛び交う 朝市に、これからは「食べてくだー」の響きも加わりそうだ。

 七輪の設置は「食べる朝市」のイメージづくりの一つ。輪島朝市を訪れる観光客へのア ンケートでは、「新鮮な魚が楽しみだったのに、食べる場所が少ない」との声が多かった 。そこで、試験的に置いた七輪の周りでは、熱々のアジやサヨリに舌鼓を打つ観光客の姿 が見られるようになった。組合員に協力を呼び掛け、夏の盛りが過ぎ、暑さが落ち着くこ ろを見計らって七輪の数を増やす。

 「食べる朝市」づくりとしては、輪島商工会議所や市が出資するまちづくり機関(TM O)の運営で3月にオープンした「朝市さかば」に続く企画となる。朝市さかばでは、刺 し身を串に刺して食べ歩きできる手軽さが観光客に受けている。

 朝市が新たな試みに乗り出したのは、昨年6月の世界農業遺産「能登の里山里海」認定 がきっかけとなった。

 認定効果で輪島全体の観光入り込み客は回復基調が続き、今年1〜5月は前年同期比3 万6800人増の約31万3400人だった。ところが、朝市は横ばいのままで、200 7(平成19)年の能登半島地震で落ち込んだ観光客をなかなか取り戻せていない。

 朝市通りに並ぶテントでは、鮮魚や水産加工品のほか、民芸品も取り扱うため、観光客 が「みやげ屋」との印象を受けたり、「新味がなくマンネリ化している」との指摘もあっ た。観光客が朝市を素通りし、農業遺産認定で話題が集まる白米(しろよね)町の名勝・ 千枚田に流れているとの見方もある。

 小林政則組合長(53)は「焼きたての魚を頬張りながらくつろいでもらい、朝市の素 朴な風情も満喫してほしい」と話した。


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