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相馬野馬追メーン会場への来場 校庭へ駐車「待った」

原町二小の校庭。「除染で下がった放射線量を再び上げたくない」と開放を見送った=南相馬市原町区

 福島県南相馬市などで開かれる相馬野馬追(28〜30日)の来場者の駐車場として毎年開放される同市原町区の小中学校と高校の計4校の校庭が、今年は開放されないことが分かった。福島第1原発事故で除染した校庭の放射線量が車の乗り入れで上がったり、グラウンド状態が悪くなったりするのを学校が気にしたためだ。市などでつくる執行委員会は代替駐車場を確保する対応に追われた。

 4校は同市原町一小、原町二小、原町一中と私立松栄高。メーン行事の神旗争奪戦が行われる雲雀ケ原(ひばりがはら)祭場地の近くにあり、例年、期間中に校庭を開放し、4校で全体の半分に当たる約1100台の車を収容している。
 原町二小は6月上旬、執行委から校庭借用の依頼を受け、断った。「車のタイヤに付いた土で線量が上がるのではないか」との不安を抱いたためだ。
 原発事故で原町区は緊急時避難準備区域に指定され、同校は同市鹿島区の学校で授業を続けた。昨年9月に指定解除され、校庭の表土をはぐ除染をし、今年1月、本校での授業を再開した。除染前は毎時0.6マイクロシーベルトを超えた校庭の線量が0.1マイクロシーベルト台に下がり、児童の受け入れが可能になったという。
 玉川雄一校長は「車が入って線量が上がるかどうかは不明だが、児童のことを考えると危険性のある行為はできない」と話す。
 原町一小、原町一中も除染を経て昨年10月に再開した。原町一小は「除染で入れた砂が細かく、車が乗り入れると砂ぼこりが舞って近所迷惑になる」と校庭開放を受け入れなかった。原町一中は「執行委の一員の市に判断を任せる」とし、市は借用を見送った。
 松栄高は原発事故による生徒減を理由に今年4月に休校。管理上の問題などから開放に応じなかった。
 執行委は代わりの駐車場探しを迫られ、地元企業を回って協力を要請した。祭場地周辺の3社が従業員駐車場などを提供してくれ、ようやく不足分を確保した。
 執行委は「本格開催は2年ぶりで多くの人に見に来てもらいたいと思い、校庭の借用をお願いした。学校の意に反して借りるのは好ましくなく、借用を見送る。企業の協力を得て駐車場を確保でき、来場客の受け入れ態勢は整えることができた」と話している。
 野馬追は原発事故後の昨年7月にも開催されたが、規模を大幅に縮小したため、大きな駐車場を確保する必要がなかった。


2012年07月02日月曜日


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