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乗り入れで首都圏の玄関口に 大宮

2012年06月24日

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東北新幹線開業を控えた大宮駅西口=1982年6月

 東北から「金の卵」を乗せて上京した集団就職列車の時代には、北の玄関口といえば東京・上野駅だった。東北新幹線の始発駅だった期間は3年に満たないが、今や大宮駅の1日の平均乗車人数は上野駅を6万人強上回る(2010年)。現代の北の玄関口で、東北との接点を探した。
 さいたまスーパーアリーナ(さいたま市中央区)で米人気歌手レディー・ガガのライブがあった5月中旬。会場の最寄り駅から1駅離れたJR大宮駅には、新幹線で帰宅するファンの姿が目立った。母と一緒に来た宮城県亘理町の高校1年の女子生徒(15)も、その一人だ。「家で寝る方が楽ですから」。そう話して、午後8時28分発のはやてで家路についた。
 アーティストの公演を手掛けるホットスタッフ・プロモーションの横山和司副社長は「さいたまスーパーアリーナは地の利がある」と語る。各新幹線の沿線から集客が見込めるからだ。
 地の利に目をつけ、拠点を移した企業もある。自動車部品メーカーのカルソニックカンセイは2008年5月、東京都中野区からさいたま市北区の同社大宮工場跡地に本社を移転した。栃木県と神奈川県にあった設計部門も集約した。
 最寄り駅は大宮駅から1駅。「岩手など東北の生産拠点に急ぎの出張があれば、すぐに新幹線を使える。都内から移転しても不便は感じません」と広報担当者は話す。
 山形銀行は、1973年から大宮に支店を構える。「首都圏の玄関口になるとみて、支店を置いたようだ」と長尾敏史支店長。同行広報室によると、当時は営業エリアを首都圏に向けて拡大していた。首都圏に集団就職した人が独立し、「山形の出身だから」と口座を開設することが多かったとも伝えられる。
 支店の窓口には今、「山形を旅行するので」と、地元のお薦めを尋ねに来る人もいるという。出入り口に山形の観光パンフレットも置き、PRに一役買う。
 JR大宮駅の1日の平均乗車人数は、2010年は23万5151人。東北新幹線が開業した1982年と比べ10万人近く増えた。
 「駅前の人通りは昔から多いですが、僕が子どもの頃の方が活気があった」。大宮駅東口の大宮銀座商店街協同組合の栗原俊明理事長(37)はそう振り返る。若者は駅の商業施設で買い物を済ませ、一帯のビルは3階以上に空室も出ている。駅を利用する人は増えたが、商店街を通過する人も増えているのだ。
 従来は商店街を回遊したくなるような仕掛けが不足していたと、栗原理事長は考えている。今後は仙台など、新幹線でつながる街の商店街との連携などを模索したいとも話す。
 「駅は何十万もの人を大宮に引き込む力がある。それを生かしていかないと」

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