- [PR]
政治
【土・日曜日に書く】ワシントン支局長・佐々木類 欠陥品に巨費投入の愚
防衛産業に打撃
これはスキャンダルだ。消費税増税を柱とした社会保障・税一体改革関連法を舞台回しとした民主党の分裂騒動に国民の目が奪われている間に、野田政権は最新鋭ステルス戦闘機F35という、2019年まで空を飛べない巨額の欠陥品の調達契約を決断した。「今さら機種変更はできない」。防衛省関係者はこう語る。欠陥を知りながら契約を決断した背景には、来年以降、契約破綻が顕在化しても担当者が入れ替わって選定責任を免れるのではないか、という官僚的な無責任体質が見え隠れする。
老朽化したF4戦闘機の後継機選定で野田政権が犯した致命的な戦略ミス。これは議論の余地がない。欠陥品を承知で確信的に導入したといっていい。米軍と英、カナダ、オーストラリア、イタリアなど同盟国は、調達計画の中止や見直しを決めている。
にもかかわらず、共同開発国でもない日本だけが米軍よりも“早く安く”16年度中に最新型コンピューターソフト「ブロック3」を搭載した完成品4機、17年度中に日本国内で最終組み立てした完成品4機を購入できるというのだから開いた口がふさがらない。
仮に将来、最終組み立てができても中身不明のブラックボックスだらけの部品を組み立てるノックダウン方式では高度な技術移転は不可能で、「部品が故障したら米国に逆輸出し、再輸入しなければ空を飛べず、肝心なときに使えない」(元防衛事務次官)のだ。何より防衛産業の多くが、戦前から培った生産基盤を失ってしまう。
関連ニュース
- [PR]
- [PR]