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政治
【土・日曜日に書く】ワシントン支局長・佐々木類 欠陥品に巨費投入の愚
不都合な真実
「機体に多数の亀裂で調達延期は不可避」(デンプシー米統合参謀本部議長)、「(実戦配備できる)量産計画は未定」(シュワルツ空軍参謀総長)、「トラブル続きで価格高騰は必至」(カーター国防副長官)、「開発完了前の生産着手は失敗」(ケンダル国防次官代行)、「開発計画に深刻な懸念」(ギルモア国防総省局長)。
ざっと挙げただけでも、この1年あまりで、これだけ多くの米軍首脳が警鐘を乱打してきた。こうした米国内事情を折に触れ紹介してきたが、さる防衛省関係者は米国事情を報じる本紙の報道について、非公式だが「ネガティブキャンペーン」と決めつけた。調達に失敗したF22の幻影を追い、F35の“不都合な真実”を直視しない姿勢こそ無責任極まりない。
F35は最先端技術の粋を集めた空飛ぶ「機密の塊」だ。対中戦略上の政治的な意味合いの重要性もさることながら、ずうたいだけデカい中国のドンガラ空母、電子戦未経験の自称ステルス戦闘機J20(殲20)相手に圧倒的な航空優勢を保てるはずだった。予定通りに実戦配備できた場合には、だ。
さきに挙げた米側関係者の懸念を裏付けるように米国防総省、監査院(GAO)は少なくとも2019年まで開発が遅れ、価格が高騰すると議会に報告。だが、導入キャンセルもちらつかせていた防衛省は最近、こっそり軌道修正して「間に合わない場合でも導入する」(渡辺周防衛副大臣)と絵に描いた餅を食べるのに血眼だ。
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