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歴史的建造物復元へ 被災の国登録文化財5ヵ所 気仙沼
 | 津波で3階部分だけが残った男山本店の店舗。1、2階を建て直し、元の形に復元するという |
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東日本大震災で被害を受けた宮城県気仙沼市中心部の歴史的建造物を復元・保存しようと、所有者や専門家らが28日、検討会をつくり、同市のホテルで設立総会を開いた。広く寄付を募り、国登録文化財に指定されている酒造会社の建物など5カ所を3年程度で修繕することを決めた。
復元するのは酒造会社の「男山本店」「角星」に加え、米穀店の「武山米店」、陶器店の「三事堂ささ木」、回船問屋の「小野健商店」の店舗や土蔵。いずれも1929年の気仙沼大火以降に建てられ、近代的な造りや、柱や欄干の凝った意匠が特徴だった。津波で1階部分や外壁が大きく損傷した。 工事は早ければ7月ごろに始め、ころを使って家を動かす「曳(ひ)き家」をしたり、壁や柱の補強工事をしたりして元の姿に戻す。 復元費用は、文化財の復旧支援に取り組む公益財団法人文化財保護・芸術研究助成財団(東京)などの「東日本大震災被災文化財復旧支援事業」を活用する。財団が広く寄付を募り、検討会に助成する仕組みで、すでに約3100万円の支援が決まっているという。 検討会のメンバーで、復元方法を助言している豊橋技術科学大(愛知県豊橋市)の泉田英雄准教授は「生活再建の一方で50年後、100年後に歴史や文化を残すことも大切なことだ」と指摘する。 店舗の2階部分だけが残った角星の斉藤嘉一郎社長(53)は「歴史ある建物がよみがえることになりうれしい。周辺の街並みと調和するように復元してほしい」と話している。
2012年06月29日金曜日
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