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脳の匂いかぎ分け 仕組み解明 東北大グループ
東北大大学院情報科学研究科の三浦佳二助教(応用数学)の研究グループは、脳の嗅覚皮質にある神経細胞の電気信号(パルス)を数学の応用で解読し、匂いの違いを素早く判別する脳のメカニズムを解明した。
動物は1回息を吸い込んだだけで、素早く匂いを判別する。匂いの分子は鼻の中にあるセンサーに検出され、情報はパルスとなって脳内へと伝わる。しかし、脳が嗅覚情報を処理する仕組みは、よく分からなかった。 グループは、頭部に電極を付けたラットに匂いを判別する課題を与え、嗅覚皮質の神経細胞が発するパルスを記録し、数学的手法で解析した。 その結果、脳の入り口近くにある嗅球では、パルスの伝わるタイミングで匂いを区別するのに対し、脳の奥にある嗅覚皮質では、パルスの回数(頻度)で違いを判別していたことが分かった。 また、嗅覚皮質の多くの神経細胞が、互いに独立して匂いの情報を処理をしていた。このような神経細胞の活動の違いが、素早く正確な判別を可能にしていた。 三浦助教は「研究ではラットを使ったが、同じほ乳類である人間とは高い類似性があると考えられる。嗅覚障害の治療や人工嗅覚の開発への応用が期待できる」と話している。 研究成果は、21日付の米科学雑誌「Neuron」に掲載された。
2012年06月21日木曜日
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