月刊MONOQLOという雑誌の連載で、毎月書評を寄せさせていただいているのですが、今月お題として頂戴しました『願力 愛を叶える心』(長谷川理恵・著)が死ぬほど凄かったので、敢えて取り上げたいと思ったわけです。
何が凄いって、長谷川理恵は本物の馬鹿だと思うんですよね。知力1というか、男なら脳筋乙と言われてしまうレベルで。
これ、まとめたゴーストライターの人の腕が良かったのだろうと思うのですけれども、長谷川理恵がいかに外見だけを磨き続けてきた女性であるか、中身が如何にアレか、そしてそういう長谷川理恵に群がる男たちの下衆な感じがまた素晴らしくて、やはり男の側も長谷川理恵に飽きて「捨て」ていく過程がゴリッという読書感覚と共に深く深く突き刺さるんですよ。
タレント本はまあ普通に読むんですけれども、一読して「うわ、これはヤバイ」と思える本は本当に久しぶりです。私が精神的に後ずさりをするほど脳みそがヘリウムでできた女性の一大叙事詩であり、本物の「美人だが馬鹿女」という言葉が相応しい内容に驚愕の連続です。ほぼ人生の全編が芸能ゴシップであり、ワガママと勘違いであり、物欲と肉欲とで構成されているあたりが、余すところなく綴られていて、これは一周回って本気で名著だと思うのです。これをまとめたゴーストライターは本当に偉い。誰だか分からないけど。
正直、ヤりたい一心の男たちにちやほやされていく過程で「イケてなかった私」の自己が肥大していって精神が離陸し、月面着陸しかねない勢いなんですよねえ。で、明らかに遊ばれているわけですよ。そして、捨てられているんです。そういうプロセスも本人にとっては愛情とか恋愛といった分厚いバリアーによって守られ、あっけらかんと(ゴーストライターが)書いている。
テレビ局の仕事でマラソンの話が来たけど、そもそもマラソンが何km走るのか知らないで請けて大変だったけど、何とか走ったらマラソン面白くて人生変わったけど、野菜が好きになって野菜ソムリエにハマったけど、サーフィンにハマって男ができたけど、その男が事故死してしまったので悲しいので5年間彼氏がいなかったけど、また新しい男ができたけど、何か別れたけど、新しい男ができたけど妊娠したので嬉しいです、みたいな。
人生に悩んでスピリチュアルにハマるとか。いやー、凄いですよこれは。馬鹿だなあ。私も馬鹿だけど、私とは違った守備範囲の馬鹿だと思います。
正直ヤバイ。いやほんと。
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