ついに大飯原発と同様に他の原発も暫定的な安全基準のまま再稼働させていく政府の方針が決まった。
こう言うと、「えっ? いつ?」という方が多いかもしれない。そんな大きな方針が決まったとしたら、当然新聞の1面トップのニュースになっているはずだ。だが、これを取り上げた報道は殆どない。
6月8日、野田総理が行った記者会見。一般には、大飯原発3、4号機の「再起動」についての記者会見として報じられた。
そもそも安全基準がでたらめで、ゼロから作り直さなければならないことは班目原子力安全委員長が証言しているとおりだ。国民はどんなに野田総理が安全だと言ってもそんなことは信用しない。政府もそのことにようやく気付いて、やむを得ず、安全基準は暫定的なものだと白状した。これを最初に認めた細野原発担当大臣は、5月30日の関西広域連合の会合で、暫定のまま動かすのは大飯原発だけで、あくまで例外だという趣旨の発言をした。しかし、わずか1週間後の野田総理の会見では正反対の宣言がなされたのだ。
大飯以外の原発再稼働について、「大飯同様に」「個別に安全性を判断してまいります」と総理ははっきりと宣言した。つまり、大飯同様に「出来そこないの安全基準」のまま「素人政治家4人」が何の根拠もなく安全宣言することで、伊方も玄海も泊も動かせるという意味だ。こんな重要なことを、総理会見の中にうまく紛れ込ませる。もちろん、経産省の原子力ムラ官僚達の仕業だろう。
もう一つ、新たに作られる原子力規制機関では、引き続き経産省の原子力ムラ官僚がその業務を担うことも決まった。これも、「えっ? まさか!」という答えが返ってきそうだ。これを取り上げたのはテレビ朝日の報道ステーションくらいだから、殆どの国民は気付いていない。
新たに出来る原子力規制機関は、原子力規制委員会という名のいわゆる「3条委員会」という一見独立した組織にすることが自公民だけの法案修正協議で決まった。しかし、ここでも様々な骨抜き行為が、原子力ムラ官僚と環境省の官僚達によって行われている。
まず、原子力規制委員会とは別に「原子力防災会議(仮称)」という組織を新設し、ここが規制委員会に様々な注文をつけられることにする。しかも会議の事務局を別に作り、そこには経産省の官僚が自由に出向できる。
驚いたのは、新規制機関には経産省の原子力ムラ官僚が出向した後、再び経産省に戻れるようにしてしまうことだ。新機関は、新たな国際標準の安全基準を作り、厳格な安全審査を行うはずなのだが、それを経産省の出向官僚達がやることになる。本来は、古巣には絶対に戻れない厳格な「ノーリターンルール」を適用し、経産省と断絶させるべきだ。しかし、官僚達はこれを骨抜きにする。「推進官庁への配置転換を認めない」として、「ノーリターンルール」を適用するように見せながら、一旦それ以外の役所を経由すれば経産省に戻れる道を残す。
その他にも例外はいくらでも作れるようにする。その上、そもそもルール適用は「給料アップ」等の処遇充実策を実施するまで先送りするという。要するにやらないということだ。そういうことが報道される前に自公民の裏談合で決められたというから恐ろしい。
民主と自民、さらに公明まで入って、官僚主導の政治で日本は本当に破滅への道を歩んでいる。
「週刊現代」2012年6月30日号より
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