俳優の地井武男さん死去

6月29日 14時10分

幅広い役柄を演じて名脇役として親しまれた俳優の地井武男さんが、２９日朝、東京都内の病院で心不全のため亡くなりました。
７０歳でした。

地井さんは千葉県出身で、俳優の養成所を出た後、昭和４３年に岡本喜八監督の映画「斬る」でデビューしました。
その後、舞台やテレビ、映画などで悪役からコミカルな役まで幅広い役柄を演じ、名脇役として親しまれました。
特に北海道の自然の中で生きる家族を描いたテレビドラマ「北の国から」では、主人公の家族を見守る近所の男性を熱演し、人気を集めました。
また平成８年にＮＨＫで放送されたドラマ「官僚たちの夏」では、主人公のライバル役を演じたほか、平成１９年のドラマ「新マチベン」では、リストラされた後に弁護士になった男性を演じるなど、幅広い役柄で長年活躍を続けました。
最近は旅番組やバラエティー番組にも出演し、「ちいちい」の愛称で親しまれていました。
地井さんは、体調を崩してことし２月から東京都内の病院に入院していました。
地井武男さんと劇団俳優座で同期だった俳優の前田吟さんは、「俳優座１５期の中でも特に地井君とは若いころ事務所を一緒に立ち上げたり、五十年間、同じ夢を追って頑張ってきたよきライバルであり、友人でもあります。突然の訃報に身内を亡くしたかのような悲しみにくれております。地井武男の元気な優しいおじいちゃん役がみられるのはこれからだったのに、とにかく残念です。心よりご冥福をお祈り申し上げます」というコメントを出しました。
地井さんが体調を崩したあと、長年、地井さんが続けてきた散歩を楽しむ番組を引き継いだ俳優の加山雄三さんは「体調を崩して散歩を続けられないと聞いたとき、彼が戻ってくるまで頑張ってみようとお引き受けしました。ゆっくり静養してもらおうと思っていたのに、大変ショックです。彼の分まで彼に喜んでもらえるように散歩を頑張りたいと思っています。心からご冥福をお祈り致します」とコメントしています。
地井さんとテレビドラマ「北の国から」で共演した俳優の田中邦衛さんは、「本当にびっくりしました。何も言うべき言葉が出てきません。ドラマでのシーンが思い出されて…。もう一度会いたい」とコメントしています。
また、同じ「北の国から」で共演した俳優の吉岡秀隆さんは、「氷点下の富良野でまだ幼かった私の手を温めてくれた時の笑顔と優しさが忘れられません。ご冥福をお祈りします」とコメントしています。
また、女優の中嶋朋子さんは「あまりに突然で本当にどうしたらいいかわかりません。今はただ、どんな時にも明るく軽やかだった地井さんの存在の大きさを感じるばかりです。心よりご冥福をお祈りいたします」とコメントしています。