2004年3月9日 掲載
 
珍プレー対象候補? 足元に大暴投 
 

ツインズ戦の四回、守備で失点につながる失策をし、肩を落とすヤンキースの松井=タンパ(共同)
 【ニューヨーク支局8日道上宗雅】(9日付夕刊)ヤンキースの松井秀喜選手が、オープン戦の”珍プレー大賞”候補に躍り出た。左翼からバックホーム態勢に入った松井は、途中で投球動作を止めようとして自分の足元に大暴投し、ボールは左中間を転々。「自分が投げたボールを自分で捕りにいったの、初めてだよ。情けないなんてもんじゃないな…」と苦笑いするしかなかった。

 松井が言う「トゥデイズ・ハイライトシーン(本日の名場面)」が飛び出したのは、四回表の守備。二死一、二塁から左翼線の打球をつかんだまではよかった。一塁走者を刺そうと本塁へ投げようとした瞬間、大声で叫ぶ遊撃手ジーターが視界に。「言い訳はしたくないけど、キャプテン(ジーター)がセカンドを指差してた」。

 何とか二塁への送球に切り替えようとした松井だったが腕を止めることができず、目の前の芝生に投げたボールを全速力で捕りにいくはめに。

「投げるつもりが投げなかったからそうなった」という今年初のエラーが珍プレーとなってしまった。

 外野で天を仰ぎがっくりと肩を落とす姿は、昨年のリーグ優勝決定戦で痛恨の悪送球を犯した時と同じ。しかし松井が「公式戦じゃなくてよかったよ」と守備から戻ると、ベンチは大爆笑。腹を抱えて笑うジーターに向かって、せめてものうさ晴らしとばかりに松井が言った。「お前のせいだ」。



●米記者も松井にほれた 食事会に異例の招待

 【ニューヨーク支局8日道上宗雅】(9日付朝刊)ヤンキースの松井秀喜選手が、米国報道陣から食事会に招待された。大リーグの選手たちは仕事とプライベートをはっきりと分けるタイプが多いだけに、昨年のキャンプで松井が米国報道陣を食事に誘ったのも、今回のように選手が招かれるのも「異例中の異例」。松井の人柄に、米国人記者たちもすっかりほれ込んでいる。

 昨年、自己紹介がてらに米国報道陣との食事会を開いて招かれた記者たちを驚かせた松井が、今度は逆に驚かされた。八日夜の食事会に招待されたのは、野球選手としてだけではなくユニホームを脱いだ一人の日本人青年としての魅力があるから。さすが、全米野球記者協会ニューヨーク支部が選ぶ「グッドガイ(いい男)賞」に輝いた松井だ。

 実際、いつも行動を一緒にしている米紙記者の一人は「松井はいつも謙虚で、本当のナイスガイだ。英語もうまくなったし、ジョークのセンスもあるね」と話す。

 松井がこれほど報道陣の人気を集めているのは、表面だけの付き合いではなく真剣に相手のことを知ろうとしているからだろう。記憶力はずば抜け、担当する米国人記者の名前は、すべて覚えている。

 松井には相手を思いやる懐の深さと心の余裕がある。松井は今年も、プレーとその人柄で、ファンを増やしていく。

 
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