政治【主張】オスプレイ 安全データに耳傾けたい2012.7.1 03:31

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【主張】
オスプレイ 安全データに耳傾けたい

2012.7.1 03:31 主張

 米政府が垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの沖縄配備を日本に正式通告したことを受け、7月末に山口県・岩国基地へ搬入した後、8月に米軍普天間飛行場に配備される計画が確定した。

 森本敏防衛相は沖縄、山口両県を訪ねて地元調整に入ったが、墜落事故が続いたこともあって、「安全性」をめぐる地元の反対や抵抗感は根強い。

 しかし、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の海洋進出で日本の安全が脅かされる中、米海兵隊の装備・能力を飛躍的に向上させるオスプレイの導入は、日米同盟の抑止力を高める上で不可欠だ。政府は全世界的な運用状況や技術面も含めた安全性について丁寧に説明し、日本の平和と安全に必要な配備を粛々と進めてほしい。

 オスプレイは2005年、米政府が「すべての安全基準を満たした」として量産に入った。米海兵隊は世界で約140機を運用中で最終的に360機を導入する。

 問題は、沖縄配備を控えた4月にモロッコ、6月に米フロリダ州で墜落事故が起き、地元自治体や反対派などによる反対論や慎重論が一斉に高まったことだ。

 だが、モロッコの事故では「機械的不具合はなく機体の安全性に問題はない」と米政府が経過報告した。フロリダの事故も「設計上の欠陥を疑う理由はない」として同型機の運用が続いている。

 オスプレイの事故率は11年時点で10万飛行時間あたり1・12で、海兵隊の全航空機平均2・47の半分以下(米軍統計)との安全データもある。それでも日米両政府が地元の不安に配慮して、フロリダの調査結果がまとまるまで岩国基地での試験飛行を見合わせることにしたのは妥当といえよう。

 オスプレイは老朽化した現行のCH46中型ヘリと比べ、速度が2倍、行動半径が4倍、積載量は3倍あり、「日本の防衛や人道・救難能力を飛躍的に高める」(米国防総省声明)ものだ。飛行時の騒音レベルも低く、能力向上に伴って普天間での年間飛行回数を約11%減らせるなど、住民の要望にも十分に応える更新といえる。

 「安全性」を口実とする一部の反対論に屈しないためにも、こうしたデータや事実を根気よく提示して説得することが肝要だ。同時に、防衛相と野田佳彦首相は同盟の最大の懸案である普天間移設にも力を注いでもらいたい。

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