2012年06月27日

一体改革法案の採決について

テーマ:政策のこと

本日、社会保障と税の一体改革の法案の採決が行われ、私は賛成票を投じました。


その理由を申し上げる前に、まず、この一体改革を巡って党内で大きな混乱が生じていることについて、お詫びを申し上げなくてはなりません。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。


私自身、投票行動を決めるにあたって、最後まで悩みました。本当に悩みました。急速に進む高齢化と悪化の一途をたどる財政の現状を考えると、社会保障の安定財源を確保することは不可欠です。その一方で、政権交代時の約束との関係から言えば、齟齬があることは否定できません。


この改革の必要性と政権交代時の約束との狭間で、どうやって自分自身の考えを整理し、国民の皆様に説明すればいいのか考え抜いてきました。


現在、年金、医療、介護の給付総額は100兆円を超えています。その給付のうち保険料でまかわれているのは約60兆円に過ぎません。差額は、税金で埋めることになっていますが、税収も不足しているため、その多くを赤字国債によって、つまり、借金によってまかなっています。


その額は、高齢化の進展に伴い、毎年1兆円以上、“自動的に”増え、その借金は、私たちの子や孫が支払うことになるのです。今、手を打たなければ、将来の世代に膨大な負の遺産を残すことになってしまいます。


そこで、今を生きる私たちの世代が少しずつ負担を分け合うことで社会保障の足場を補強し、子や孫の世代にツケを回すことを避けようとするのが、一体改革の目的です。本来であれば、もっと早い時期に恒久財源を充てておくべきで、改革を先送りし続けてきたこれまでの政治の責任は大きいと思います。


実際、先送りのツケが、既に現れつつあります。現在、国と地方あわせた累積債務の総額は1000兆円を超えました。この累積債務から生じる毎年の元利払いは約22兆円です。そのうち、利子の払いだけで毎年10兆円に達しています。これは日本の防衛費の2倍です。対応が遅れれば遅れるほど、こうした借金の支払いは増えていきます。その意味で、改革は待ったなしなのです。


一方、こうした一体改革の必要性は理解しつつも、「増税の前にやるべきことがある」との思いを、常に心の中に持ち続けてきました。私自身、行政改革や国会議員定数の削減には、党内でも最前線で取り組んできた自負があります。


改革の成果も出てきています。例えば、天下りは半分以下に激減しました。また、2年間で、新たに消費税5%相当分(約7兆円)の財源も捻出しました。また、特別会計改革法案や行政改革実行法案を、既に国会に提出しています。ただ、政治的混乱で審議が進んでいないことは残念でなりません。


そして、こうした改革の中で、とりわけ力を入れてきたのが議員定数の削減です。議員定数の削減には一円の財源もいりません。議員の覚悟だけでできる改革です。もし、この議員定数削減が全く進まないようであれば、どんなに一体改革の中味に合理性があったとしても、私自身、賛成しかねると主張してきました。つまり、私にとって、議員定数の削減は、政権交代時の約束をギリギリ果すための“最後の砦”なのです。


しかし、この議員定数の削減に関して、国会に法案が提出されたものの、長く棚ざらしになっていました。そこで、国対委員長をはじめ執行部に対し、早く委員会を開いて審議して欲しいと、何度も申し入れを行った結果、本会議の始まる1時間前の議院運営委員会で、法案の委員会への負託が正式に決まりました。これで、今国会中に、定数削減が実現する目途が立ちました。


一期生の仲間と共に取り組んできた半年にわたる活動が、ギリギリのところで具体的な進展を見せたことで、私は、これをもって一体改革関連法案に賛成することを決めました。


ただ、改革は道半ばです。これから実際に税率が上る2014年4月までに、徹底した行政改革や、経済活性化策の実行に全力で取り組まなければなりません。その意味でも、法律が通った後も、一日も休まず改革を進めていかなくてはなりません。また、景気を回復させるための政策は極めて重要です。マーケットが驚くような施策を大胆に講じていく必要があります。


今こそ、政局より政策なのです。


今回の採決を巡る判断は、苦渋の決断でした。しかし、最終最後、私が判断を決めたのは、今を生きる日本国民だけでなく、これからの時代を生きる将来の日本国民に対しても責任を果たそうと考えたからです。


次の選挙を考えれば、今回の投票行動は不利だと思います。しかし、次の世代や、次の次の世代にとってプラスになるのであれば、政治家として本望だと覚悟を決めた結果です。ご理解をいただければ幸いです。


Amebaおすすめキーワード