不健全図書:都条例改正1年で、指定はゼロ
毎日新聞 2012年06月30日 11時42分
元編集者で表現規制の問題に詳しい藤本由香里・明治大准教授(漫画文化論)は「新基準は表現の自由の観点から問題がある」と指摘しつつ「『不当な賛美や誇張』の定義は不明確で、都側も適用の判断は難しいだろう」と話す。
こうした状況について、石原慎太郎知事は28日の定例記者会見で「えげつない内容の出版物は出回っていないと思う」と規制強化の成果を強調。一方、都の審議会委員も務める鈴木富夫・出版倫理協議会議長は「作家は性表現をためらわざるを得ず、萎縮効果は計り知れない。新基準は業界の自主規制の努力を踏みにじるもので、今でも反対」と訴える。【佐々木洋】
◇都条例の「不健全図書類」指定基準<従来>
著しく性的感情を刺激し、甚だしく残虐性を助長し、自殺や犯罪を誘発する恐れがある図書類や映画など。具体的には(1)性的行為の露骨な描写(2)人格を否定する性的行為を容易に連想させる表現−−などが抵触する
<改正後の追加部分>