トップページ社会ニュース一覧南海トラフ地震 被害想定の公表延期
ニュース詳細

南海トラフ地震 被害想定の公表延期
6月27日 14時55分

南海トラフ地震 被害想定の公表延期
K10031492111_1206271512_1206271514.mp4

東海から西の太平洋沿岸の「南海トラフ」付近で起きる巨大地震について、揺れや津波の想定を検討している国のワーキンググループは、今月中に予定していた詳細な津波の想定や被害想定の公表を、8月下旬に延期することになりました。           

専門家などで作るワーキンググループは27日、会合を開き、この中で内閣府の担当者は、詳細な津波の想定を作るうえで欠かせない地形のデータの点検などに時間がかかり、当初の見込みより作業が遅れている現状を報告しました。また、会合では、今後取りまとめる詳細な津波の高さや浸水範囲の想定、それに地震や津波の被害想定を別々の時期に公表していくと、住民や自治体の対応などに混乱を招きかねないという指摘も出ました。
このため、ワーキンググループは、今月中に公表する予定だったこれらの想定を8月下旬にまとめて公表し、その際、想定をどのように活用し、揺れや津波にどう備えるべきかといった具体的な対応も併せて説明することを決めました。会合のあとの記者会見で、内閣府の藤山秀章参事官は、「結果的に見積もりが甘かったと言わざるをえず、予定が大幅に遅れてしまい、申し訳ない。精度のよい想定を出せるよう努力するとともに、公表に際しては混乱が生じないよう、自治体などにきちんと説明したい」と話しています。

被害想定公表 なぜ遅れるのか

東日本大震災を受けて、国は、「東海地震」や「東南海・南海地震」として対策を進めてきた、「南海トラフ」付近で起きる巨大地震と津波について、想定を見直すことになり、去年12月、マグニチュード9クラスの最大規模の地震の震源域などを新たに公表しました。
ことし3月末には、各地で想定される最大クラスの揺れと津波の高さを公表しましたが、このうち津波の高さは、50メートル四方の比較的粗い地形のデータを使って計算したため、市町村の中の細かな地域ごとの状況は計算できていませんでした。
このため、10メートル四方の細かい地形データを使って、各地の詳細な津波の高さや浸水範囲、それに津波の予想到達時刻を改めて計算し、地震と津波の被害想定も作成して、今月までに段階的に発表することになっていました。
しかし、計算のために自治体などから提供された地形などのデータの一部が、最新の状況を反映しておらず、再調査や修正が必要であることが分かりました。
一方、想定を検討している国のワーキンググループには、ことし3月末に、国が揺れと津波の想定を公表した際、自治体の担当者に内容が伝わっていなかったため、住民からの問い合わせに答えられないケースがあったことや、高い津波の想定を知った各地の住民の間から避難を諦めるという声が上がっていたことなどが報告されていました。
こうした反省も踏まえて、国のワーキンググループは、想定の公表を延期することを決めました。
自治体の中には、震災を受けて、地域の特性に根ざした新たな津波の想定や避難計画などを作成する動きもあるため、国は今回の想定作りで用いる最新のデータを点検したうえで、各地の自治体にも提供することにしています。       

[関連ニュース]
このページの先頭へ