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東電 実質的な国有化が決定
6月27日 21時30分

東電 実質的な国有化が決定
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27日開かれた東京電力の株主総会で、1兆円の公的資金投入を受けて、政府が最大75%余りの議決権を持つことなど、会社側が提案した議案が原案どおり可決され、東京電力が実質的に国有化されることが正式に決まりました。

東京電力の株主総会は、27日午前10時から東京・渋谷にある国立代々木競技場の第一体育館で開かれました。
総会では、会社側が財務基盤を改善するため、1兆円の公的資金の投入を受けることや、経営責任を取って、勝俣恒久会長や西澤俊夫社長が退任し、取締役の過半数を外部から起用するといった議案を提案しました。
出席した株主からは「柏崎刈羽原発の運転再開と、電気料金の値上げを前提とした実質的な国有化には反対する」とか、「人件費をはじめコスト削減が十分ではない」といった意見が相次ぎましたが、採決の結果、会社側が提案した議案は、いずれも90%前後の賛成で原案どおり可決され、東京電力は実質的に国有化されることが正式に決まりました。
一方、27日の総会では、大株主の東京都から猪瀬副知事が出席し、電気料金の根拠を第三者が検証できるようにする議案を提案しました。
これについて出席した株主からは賛同する意見も出されましたが、採決の結果、賛成はおよそ16%にとどまり、反対多数で否決されました。
原発事故以降、2回目となる株主総会に出席した株主の数は、会社側の見込みを大きく下回って4471人と、過去最多となった去年のおよそ半分となり、終了までの時間も去年より短い5時間31分でした。
27日の総会の結果、5月にまとまった「総合特別事業計画」の内容が正式に決まり、実質的に国有化される東京電力は、原発事故の賠償を進めるうえでも重要な意味を持つ、経営再建策の具体化を図ることになります。
しかし、計画の中の料金値上げなどを巡っては、一般株主だけでなく大株主の東京都からも異論が出された形で、経営再建策に今後、広く理解を得ることなどについては、東京電力とともに、政府にも重い責任が課せられることになります。

原発を巡るやり取りは

株主総会では、東京電力の原子力事業に対し、株主側から「新潟県の柏崎刈羽原発の運転再開を前提に今後の事業計画が作られているが、安全性と経営の話は全く別問題だ」とか、「福島第一原発の事故の原因が究明されていないうえ、柏崎刈羽原発の安全性も十分に証明されていない」など、原発の運転再開に反対する意見が出されました。
これに対して会社側は、「事業計画では、原発の運転再開を盛り込んでいるものの、運転再開に当たっては、福島第一原発の事故原因の究明や徹底した安全対策を行ったうえで、地元からも理解を得られるよう最大限の努力をする」と述べ、株主の理解を求めていました。

料金値上げを巡るやり取りは

株主総会で東京電力は、原子力発電所の運転停止で火力発電用の燃料費が大幅に増えていることを理由に電気料金の値上げの方針を示していることについて、「経営合理化や情報の開示を徹底しながら説明責任を果したい」と述べ、理解を求めました。
これに対して株主からは、「シェールガスと呼ばれる安価な天然ガスを輸入すれば、燃料費の負担を抑えられるのではないか」といった意見や、「燃料費の高騰だけで電気料金の値上げの理由を説明するのはいい加減だ」など、会社側の対応に批判が相次ぎました。
さらに、「柏崎刈羽原発の運転再開や電気料金の値上げを前提とした実質的な国有化には反対だ」といった意見も出されました。

株主“経営の在り方考えて”

株主総会に出席した75歳の男性の株主は、「原子力発電を含めて、今後のエネルギーをどうするかについて、もっと議論を深めてほしかった。東京電力は国と一緒に、原発事故の賠償にしっかり取り組みながら、経営の在り方も変えていってほしい」と話していました。
また、59歳の女性の株主は、「新経営陣には、電気料金の値上げの有無にかかわらず、社員の給与の見直しなど、経営の合理化をさらに進めるべきだ」と話していました。

猪瀬副知事“多数決は大きな問題でない”

猪瀬副知事は、東京都の提案が否決されたことについて、「何が問題かを株主総会で明らかにして、ある程度受け入れざるをえないという状況を作ることが、株主総会の意味であり、多数決そのものは大きな問題ではない。これからさらに追求していく」と述べました。

株主の“脱原発”提案も否決

東京電力の株主総会では、脱原発を求めるおよそ400人の株主が、新潟県の柏崎刈羽原子力発電所を廃炉にし、代わりに火力発電所を建設する議案などを提案しましたが、反対多数で否決されました。
「脱原発・東電株主運動」のメンバーらおよそ400人の株主は、柏崎刈羽原発を廃炉にし、発電効率が高い最新のガス火力発電所に替えることや、送電設備などを売却し、原発事故の影響で避難している人たちへの賠償を進めることなど、5つの議案を提案しました。
株主総会の会場には、このうちおよそ40人が、東京や福島、それに新潟から集まり、午前8時すぎからほかの株主らに議案の内容を説明するチラシを配って、賛同を呼びかけましたが、採決の結果、反対多数で否決されました。
「脱原発・東電株主運動」世話人の木村結さんは、「東京電力には原発に反対する立場の株主の意見を聞こうという姿勢がなかった。原発事故が起こる前と態度が変わっておらず、残念だ」と話していました。

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