青い空が広がる場所。
ルバーブ連山と呼ばれる場所で、一人の少女がいた。
「さて、と。今回の仕事もこれで終わり!船に戻らなくちゃ」
少女がそう言った時、少女の頭上を光る何かが通りすぎていった。
「何だろう……迎えまで、まだ時間がある。行ってみよう」
少女はそう言って光る何かが飛んでいったところに向かっていった。
*
少女が頂上に向かうと、そこには光る物体が浮いていた。
「何…、光…?」
少女は光る物体に近づいた。目をこらして見ると、光る物体の中には、人らしきものがいた。
「人…、だ!?空から人が降りて…」
少女は降りてくる人を抱き抱えるように受け止めた。
その人物は白い髪をした少年だった。少年は赤と青のオッドアイの瞳をゆっくりと開き、起き上がった。
「気がついて良かった。空から降りて来たんだもん。すっごく驚いたよ!あれは、何かの魔術なの?」
「魔……術……?」
少女の言葉に、少年は首を傾げた。
「覚えて無いの?あなた、空から降りて来たのよ」
「空から……降りて来た……?」
「そう。光に包まれてフワフワ降りて来たんだよ。ともかく、気が付いて良かった。まるで眠ってしまった様な状態だったもの。ここは魔物が多くて危険だから。私はカノンノ。カノンノ・グラスバレー。あなたは?」
「僕の……名前……」
ピンク色の髪の少女、カノンノの問いに、少年は一瞬戸惑いながらも名乗った。
「ゼノン……」
「ゼノン…。いい名前ね。とりあえず、ここは危険だから山を降りましょう」
「わかった」
カノンノの言葉に、少年ゼノンは頷き、二人は山を降りることにした。
*
ゼノンとカノンノが山を降りる途中、二人の目の前にはオタマジャクシに似た生物が二人の行く手を阻んでいた。
「あっちゃあ魔物だ。通してくれそうにないね……」
「戦うの?」
「そうだね。ここを通るには戦うしかないね」
ゼノンの問いに、カノンノは何処からか大剣を取りだし、構えた。
(僕にも戦えれば……)
ゼノンがそう思った時、ゼノンの腰に剣が差してあるのに気づいた。
「武器があるから、僕にも戦えるかも」
「ホント!?じゃあ、私もサポートするから一緒に頑張ろう!」
そう言ってカノンノは大剣でオタマジャクシの魔物、オタオタに斬りかかる。
ゼノンも持っていた剣でもう一体のオタオタに斬りかかる。
「魔神剣!」
ゼノンは剣から地をはう衝撃波に放つ。
その攻撃で、オタオタは悲鳴のような声をあげながら倒れた。
更に、ゼノンの周りに緑色の魔方陣が現れ、ゼノンは何かの詠唱を始めた。
「ライトニング!」
ゼノンが叫ぶと同時に、他のもう一体のオタオタの頭上から雷が落とされ、奇声をあげ絶命した。
「すご~い!ゼノン、強いね!とてもはじめてとは思えないよ!」
「そんなこと、ないよ」
「うんうん。だってはじめてで魔術や術技を使うなんてすごいよ!ゼノンは魔法剣士なんだね!」
カノンノは笑顔でゼノンに言った。
「あ、もうすぐ船がくる頃だ。船に乗ったら、あなたの希望する場所へ送ってもらえる様に伝えるから」
「希望する、場所に……?」
「そう。どこかへ行こうとしていたんでしょう?それで、ここへ降りてしまったとか……」
「わからない……」
「え……」
ゼノンの言葉に、カノンノは少しポカンとした。
「どこへ行くのか、なんであんなところにいたのか、自分の名前以外、わからないんだ」
「ええっ!?」自分の名前以外、何もわからないって…」
カノンノは驚き、目を瞑って考えた。
「んーんんん…。それじゃあ、どうすればいいかな。とりあえず、船までおいでよ。それから一緒に考えるから、行こっ!」
「うん」
カノンノの言葉にゼノンは頷き、二人は魔物を倒しながら先を進んだ。
そして二人は崖のある場所に着いた。
「ここ……行き止まりだよ?」
「大丈夫だよ。すぐに迎えの船がくるから」
そう言ってカノンノはクルッとゼノンの方に向く。
「ねぇ、ゼノン。ひょっとしたら、あなたは記憶喪失なのかもしれないね。何か、原因があって…。そういう状態になってるんじゃないかなぁ」
「どうして、こうなったんだろうね…」
「わからない。それこそ、理由は色々あると思うから。でも、あなたがこの山へ降りて来た時以前の記憶が無い所をみると、あなたを包んでいた光に原因があったりするのかなぁ」
カノンノがそう言った時、二人の目の前に何かがゆっくりと近づいてきた。
それはカラフルな色合いをしたなんとも不思議な形をした船だった。
「あれが私たち、ギルド『アドリビトム』の船、バンエルティア号だよ!」
船、バンエルティア号をバックに、カノンノはゼノンに言った。
ゼノンはバンエルティア号を前に驚いていた。
そうして、ゼノンはカノンノに連れられ、バンエルティア号に乗った。
主人公プロフィール。
名前:ゼノン
性別:男
職業:魔法剣士
ICV:梶 裕貴 代表作 アクエリオンEVOL、アクセル・ワールド(有田春雪)。
こんな感じです。
次回はとりあえずアンジュたちは登場させます。
お楽しみに!
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