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東電TV会議 証拠保全申立て
6月29日 12時13分

東電TV会議 証拠保全申立て
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東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡る株主代表訴訟で、訴えを起こした株主が、事故直後の東京電力のテレビ会議の記録について、「記録が消去されるおそれがある」と主張して、東京地方裁判所に証拠として確保するよう求める手続きを行いました。

東京電力の株主42人は「原発事故は津波や地震に対する安全対策を怠ったために起きた」と主張して、歴代の役員27人に対し、およそ5兆5000億円を会社に賠償するよう求める株主代表訴訟を起こしています。
この裁判で、株主は29日、東京電力が保管している事故直後のテレビ会議の記録を、裁判の証拠として確保する「証拠保全」の手続きを行うよう、東京地方裁判所に申し立てました。
このテレビ会議は、福島第一原発と東京電力本店などを結んで行われたもので、当時の対応が収められていますが、東京電力はこれまでプライバシーを理由に公開していません。
株主は「事故当時の内部の状況を明らかにするための極めて重要な資料だが、今後、記録が消去されるおそれがある」などと主張しています。
原告弁護団の河合弘之弁護士は、「役員の責任追及だけでなく、再発防止のために記録はきちんと保管される必要がある」と話しています。
これについて、東京電力は「申し立ての事実関係は把握していないが、適切に対応したい」というコメントを出しました。

テレビ会議システムの公開問題

事故直後の現場と本店とのやりとりを記録したテレビ会議システムの映像をめぐっては、事故対応を検証するうえで欠かせないとして、NHKをはじめ報道機関なども公開を求めていますが、東京電力は「社内資料でプライバシーの問題もある」として、一貫して拒否しています。
現場で指揮をとる免震重要棟と東京の本店などを結ぶテレビ会議システムの映像については、事故直後から、本店と福島第二原発で録画されていて、当時のやりとりが残されています。
事故から時間がたち、関係者の記憶が薄れていくなかで、こうした生の記録は、事故対応を検証するうえで極めて重要な資料で、NHKをはじめ報道機関などは、東京電力に公開するよう、再三求めています。
しかし、これまで映像は一切公開されていません。
国会が設置した事故調査委員会の委員が、東京電力に出向いて映像を見たというケースがありますが、その際も映像のコピーは入手せず、しかも公表した内容は、東京電力の幹部の発言の一部を文字にしただけにとどまっています。
東京電力の事故対応を巡っては、現場からの全員撤退問題や、非常用の冷却装置の操作などをめぐり、東京電力と官邸、政府の事故調査・検証委員会などとの間で、事実関係の認定に食い違いがあります。
テレビ会議の映像を公開すれば、こうした点をはっきりさせることができる可能性がありますが、東京電力は、「社内資料でプライバシーの問題もある」として一貫して公開を拒否しています。
これについて、新たに就任が決まった東京電力の下河邉会長は、28日の記者会見で、「テレビ会議システムの映像がどのように保存されているか報告するよう指示をした。私が見る必要があると判断した場合、見た上で公益上の必要性とプライバシーを比較して、踏み込んだ評価をするケースもあり得る」と述べ、公開する判断もあり得るという考えを示しています。

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