写真特集:地井武男さん「みがき砂」で格好よく 〜人生は夕方から楽しくなる〜 2010年7月16日
2012年06月29日
◇埋もれゆく景色 伝え続け232万歩
地井さん、地井さんだよ。
ランドセルを背負った下校途中の小学生数人がささやきながら通り過ぎていった。
視線の先にいた俳優、地井武男さんはイチジクをのぞき込みながら、植木屋のお父さんと何やら話しこんでいる。大きな実がなった鉢植えのイチジクには二つのペットボトルが逆さまに差さっていた。
「水を非常にほしがるイチジクにあんな大きな実がなるのはおかしいと思ったんだ。そしたら、ペットボトルの口に脱脂綿を詰めて、水が3日かけて出る仕掛けだった。あんな知恵、なかなかないよ」
朝のテレビ朝日系番組「ちい散歩」は06年4月の放映開始から1000回を超えた。これまで訪ねたのは592カ所、歩数232万2500、1393・5キロを歩いた。のんびり感が人気だが、収録に同行すると、地井さんの足は驚くほど速い。神社の大樹に両手で触れたかと思うと、小川のせせらぎにすっと耳をすませ、ショウブの花にはぐっと目を細めた。
植物に詳しい地井さんは収録の時には植物図鑑を持ち歩く。鉢植えの大きなイチジクを不思議がるのは知識のたまもの。
「自然だけではなく、日常の中に埋もれていく景色を映像で伝えられないかな、といつも思っている」