線画を描こう

Chapter 2 では

 ■ 1 : 線画について
さて、いよいよ線画を描きましょう。線画を綺麗に描くことで、ショボイ原画が少しマシになります。 ですが、その作業は非常に面倒で辛いです。ワタシにとって、CGを描くときに一番いやな作業です。 ワタシのやり方だと、かなり時間がかかります。それがいやになる原因なのです...
線画を描く場合には2通りあります。1つ目は、紙に鉛筆で描いた原画にミリペンなどで『ペン入れ』を行い、それを原稿として スキャナで取り込み、PhotoShopの各種機能を用いてゴミを取り除き線画とする方法です。この方法をワタシは個人的に 『アナログで線画を描く』方法と言っています。 2つ目は、紙に鉛筆で描いた原画をスキャナで取り込み、PhotoShopのブラシツールやパスを用いて線画を描く方法です。こちらは 『ディジタルで線画を描く』方法と言ってます。
ワタシは以前は前者の方法で描いていましたが、現在は後者の方法です。前者の方法のメリットは、『時間がかからない』ことと、 『ペンで描いた線の味』が出せることだと思います。また、デメリットは『線画が雑になる』ことだと思います。 一方後者のメリットは、『綺麗な線画が描ける』こと、デメリットは『時間がかかりすぎる』ことです。 どちらも一長一短ですが、プロの方々は、後者を採用している方が多いようです。
この章では、ワタシもやっている『ディジタルで線画を描く』方法を説明します。

(注) この章を読む前に、【 Extra Chapter 1 : パス 】を読み、パスの使い方をマスターしましょう。




原画 ⇒ 線画
この原画から... 線画を作ります。
たいていの人は線画を描くとき、黒で描くようです。 ですが、後で線画の色を描きかえる必要があるので、最初から色つきの線画を描くようにしています。

では、次に原画と線画を重ねて表示してみましょう。
原画と線画の比較 原画の上に線画を表示してみました。 赤い丸で囲まれている部分に注目しましょう。 原画と線画が大きくずれていますね? 原画から線画を描くときに、原画で変な部分を修正します。 ...修正しているというか...原画で失敗したということです。
(´・ω・`)ショボーン

今回の場合は、原画の右の、ツインテール(茉理ちゃんのツインテールの左側)が きれてしまってますね...
(ノД`)シクシク

原画を描く段階で、紙のサイズと絵のサイズを把握できてなかったからです..._| ̄|○

アナログで線画を描くと修正しにくいと思います。ディジタルなら全部描き直せるので 線画に違和感は出ません。これもディジタルで線画を描くメリットですね。


 ■ 2 : 線画の描き方
さてさて、線画を描くには ペンツール ペンツールブラシツール ブラシツール を使います。



 □ 2-1 : 線画の色を取る
まずは、線画に必要な色を取ります。 ゲームのキャラクターを描く場合は、ゲームで使われている色を使うのがいいでしょう(ワタシはそうしてます)。 ゲーム画面をキャプチャして(PrtScnキーでキャプチャできます)、それをPhotoShopに貼り付けましょう。



スポイトツールを選択 ⇒ 描画色をクリック ⇒ 描画色が変更されました



 □ 2-2 : 線画を描く


いよいよ線画を描き始めます。最初に例として、髪の毛の部分の線画を作りましょう。


新規レイヤーを作成 ⇒ パスを描く ⇒ パスの境界線を描く
新規レイヤーを作成します。
この後もレイヤーはどんどん増えていくので、名前は分かりやすい名前をつけるようにしましょう。 ここでは、「髪1」と名前を付けました。
ペンツール ペンツールでパスを描いて、 ブラシツール ブラシツールを選択します。 ブラシの太さは、 3 〜 5 px に設定します。 [ パスの境界線を描く ] ボタン パスの境界線を描く を押して、線が描けました。



この後も、この調子で線を描いて、最後に合成すれば線画の完成です。(`・ω・´)b
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
実はこの方法ではダメです..._| ̄|○
何がだめなのでしょうか? 今描いた線を拡大してみましょう。


拡大してみると? 先端を拡大して見ると...

毛先が丸まってますね?
実は、パスで線を描くと、このように尖って欲しい部分が丸まってしまうのです。 また、パスで曲線を描いて拡大すると、線が微妙にグニャグニャと曲がってしまいます (分かりにくいですが、長い線を描くと非常に目立ちます)。


「オレは別にこれでもいいZE!!」
という人は、この方法で線画を描き進めてください。
この方法なら、線画作成にも余り時間はかかりません。

「いやいや、オレはもっと綺麗に仕上げたいんDA!!!」 という人は、これから説明する方法をお勧めします。 所要時間は凄いですが、それに見合った線画が描けるはずです。 まぁ、難しさも凄いですけど...


では次の章で、別の方法を説明します。


 □ 2-3 : 綺麗な線画を描く
難しいが綺麗に線画を描く方法を説明します。 パスの使い方が難しく、慣れるまではかなり辛い方法だと思います。
画像がデカイです...見やすくしようと思って..._| ̄|○


新規レイヤーを作成 ⇒ パスを描く ⇒ パスの境界線を描く
新規レイヤーを作成します。 ペンツール ペンツールでパスを描きます。 ここで、最大のポイント。 『 描きたい線の形に、パスを囲む 』 ということです。 [ パスの内部を塗りつぶす ] ボタン パスの内部を塗りつぶす を押します。
パスが塗りつぶされ、線画が描けました。



ではまた、拡大してみましょう。

拡大してみると? 拡大して観察してみましょう。

今回の方法で線画を描くと、毛先がシャープに仕上がりました。 この方法で描くと、鉛筆で描いた原画の『線』を再現しやすくなり、描き手の 線の特徴を出しやすくなります。 例えば、顔の輪郭は太く、毛先は細くシャープに、といったように、線の太さや滑らかさ、シャープさを 自由に調節でき、また、線がグニャグニャと曲がらない、しっかりとした線画が描けます。

上と比較すれば一目瞭然の結果が出ましたね。 この方法で線画を描いていけば、綺麗な線画を描くことができます。 後は、いかに慣れるかです。慣れれば作業スピードも速くなります。
では、次の章で線画を描く過程を順を追って詳しく説明します。


 □ 2-4 : 綺麗な線画を描く(実演)
線画を綺麗に描く方法を順を追って説明していきます。 ここでは、例として胸元のリボンを完成させたいと思います。



レイヤー1 全体図1
こちらはリボンの全体を見えるようにしました。

第1段階
中心の結び目を描きました。


↓

レイヤー2 全体図2
第2段階
リボンの右上部分を描きました。


↓

レイヤー3 全体図3
第3段階
リボンの右下部分を描きました。


↓

レイヤー4 全体図4
第4段階
リボンの左上部分を描きました。


↓

レイヤー5 全体図5
第5段階
リボンの左下部分を描きました。


↓

レイヤー6 全体図6
第6段階
リボンの右先端を描きました。


↓

レイヤー7 全体図7
第7段階
リボンの右先端を描きました。
これでリボンの形が完成しました。


さて、以上で線画の描き方は解ったでしょうか? 後は貴方の努力しだいで、より綺麗に仕上げることができるようになると思います。 数をこなすことが一番の近道です。




 □ 3 : イロイロな線画の例
ここでは、線画の例をイロイロと挙げていきたいと思います。

 □ 3-1 : レイヤー構成
まずは、レイヤーの構成を見てみましょう。
レイヤー構成 今回のまつりんの線画は、全部で19個のレイヤーで完成しました。 それぞれに分かりやすい名前を付けましょう。また、細かく色や体の部分ごとに分類することで 編集する際に効率が良くなります。



 □ 3-2 : 作業中のレイヤー構成
次に作業中のレイヤー構成を見てみましょう。
作業中のレイヤー構成 最終的に19個のレイヤーですが、作業中にはこのレイヤーの倍以上の数でした。

例えば、『髪』レイヤーは今は1つですが、作業中には、『髪1』、『髪2』、『髪3』・・・ のように、線1本1本にレイヤーを割り当てました。そして最後に『髪』レイヤーとして統合します。



 □ 3-3 : 頭のレイヤー各種
頭周りのレイヤーは以下のようになっています。
頭のレイヤー各種 頭部のレイヤーはこのようになっています。
『髪』レイヤーは、全てに毛先がシャープに仕上がってます。
『牙』レイヤーが細くシャープにできているのが綺麗ですね。

輪郭は他の部分より若干太く描くようにしましょう。 ゲームや雑誌など、キャラの輪郭は他の部分より太く描かれているのを思い出してみましょう。 やはり、キャラの印象に一番大きな影響を与える部分ですから、目立つようにするのですね。
 □ 3-4 : 『右ツインテール』・『左ツインテール』レイヤー
チャームポイントのツインテールです。左右に分けてレイヤー化しています。
画像がかなり大きいですね..._| ̄|○

『右ツインテール』・『左ツインテール』レイヤー まつりんの最大のポイント、ツインテールです。 大きくて、長くて、複雑な曲線はですね。タブレットで手描きしても、パスを使っても なかなか思い通りの形に仕上がりません。綺麗に描くには慣れと根気強さが必要だと思います。
髪の毛はどの部分にでも言えることですが、シャープさが大事です。



 □ 3-5 : 胸の周りのレイヤー
胸の周りのレイヤーをまとめてみました。


胸の周りのレイヤー 『肩』レイヤーや、『胸リボン』レイヤーにある【しわ】もパスで描きます。 【しわ】は線画のほかの部分に比べて、細く描くようにしましょう。

襟の緑のラインや、胸リボンの青のラインは太さを均等にするよう注意しましょう。

胸のリボンのボリューム感が伝わってますかね・・・?



 □ 3-5 : 『スカート』レイヤー
最後にスカートのレイヤーです。


『スカート』レイヤー スカートのフワフワ感が出てるでしょうか・・・? 出ていればいいですが。
スカートの先端、裏側が見えている部分の描き方を覚えておきましょう。 スカートに入っているラインの模様は太さが変化しないように注意しましょう。



 ■ 4 : 線画を完成させる
今までは、部分ごとに異なったレイヤーを作り、そこに線画を描いてきました。 ですが、下塗りをする際に、線画がばらばらでは不便で不便で・・・
ですので、ここで線画を統合します。



鎖マークを表示させる [頭リボン]レイヤーを選択した状態で、下の[髪]レイヤーの『目』のマークの 横をクリックしましょう。すると、そこに『鎖』マークが表示されます。


↓

全てに鎖マークを表示させる 統合させたいレイヤー(ここでは全レイヤー)に鎖マークを表示させます。


↓

レイヤーを統合すると... レイヤーパレットメニューから、 リンク部分を結合 をクリックします。


↓

レイヤーが1個に!? すると、全てのレイヤーが[頭リボン]レイヤーに統合されました。


レイヤーが統合されたので、最後にレイヤー名を『線画』レイヤーに変更しておきましょう。
これで、線画の完成です。ヽ(´▽`)ノ


 ■ 5 : おわり
説明するのって難しいですね...これでしっかり伝わったかどうか...不安です。 線画の描き方は人それぞれです。他の人がこの説明を見て、 (゚Д゚)ハァ? と思われることもあるでしょう。 プロの方はもっと効率のいい方法をしておられるのかもしれません。
素人のワタシにはこれが精一杯です。(つД`)
線画しだいで絵の見栄えはずいぶん変わります。カラー&シャープな線画なら、それだけで見栄えが良くなる... と思います。ワタシの絵はどうだか・・・ まぁ、どのステップも大事です。線画も含めて、どれも手を抜かなければ、それなりの絵が描けると思います。

それにしても...画像でかすぎじゃー ヽ(`Д´)ノ