社説:離党問題の混迷 けじめ無き政党の醜態
毎日新聞 2012年06月30日 02時31分
小沢元代表は参院で法案が採決されれば「民主党の枠を超えて、直接国民に訴える」という。首相が増税法案を撤回することはあり得ず、小沢元代表が協力に転じる以外に接点はない。それを知りつつなぜ、輿石氏と協議を続けるのか。同調した議員にも離党に慎重論があり、世論の動向も読み切れず、時間かせぎをしているのが実態ではないか。
党内には政党交付金の受け取りが可能な「分党」をめぐる交渉が主眼、との冷めた見方すらある。どれほどの覚悟で造反を主導したのかが問われよう。
首相にも小沢元代表以上に責任がある。「厳正な処分」を強調していたが除籍処分をするような決意はあまり感じられない。
小沢元代表らの大量離党をはずみに仮に今後衆院で少数与党に転落すれば、内閣不信任決議案の可決が現実味を帯びる。輿石氏が辞任したり、衆院解散を迫られる展開をおそれての弱腰とすれば、情けない。輿石氏に小沢元代表への対応を「お任せしたい」と言ったとされるが、信じがたい無責任さだ。増税に複雑な思いを抱きつつ賛成した議員にどう、説明する気なのか。
こんな状況に自民党が不信感を募らすのも無理はない。3党合意をよそに民主党が勝手に法案再修正を小沢元代表に確約するような妥協など、断じてあってはならない。参院審議の環境整備を急ぐべきだ。