下関市彦島福浦町のアパートで2010年11月、女性(30)の次女=当時(6)=が殺害された事件で、殺人などの罪に問われた下関市向洋町、無職男(28)の裁判員裁判の初公判が18日、山口地裁(長倉哲夫裁判長)であった。同被告は「断じてそのようなことはしていない」と全面否認し、無罪を主張した。
検察側は冒頭陳述で、元交際相手の女性と同居していたアパートから追い出されたことや、警察に通報されて逮捕されたことなどから、動機を「(女性への)復讐による犯行」と指摘。アパートの室内にあったおもちゃのDNA鑑定や遺体付近にあったたばこの吸い殻の燃焼実験などの結果から、犯行当時現場にいたと主張した。不審人物に注意するようにと、留守番の子どもたちのために掲示していた玄関ドアの張り紙がはがされていたことなども明らかにした。
一方、弁護側は、同被告が一度アパートで宿泊していることや以前同居していたことを挙げて、「室内からDNAが検出されてもおかしくない。証拠についても信用できない」と反論。室内から同被告の指紋が検出されていないことや、アリバイがない人物が多くいることなども強調した。さらに「第三者の可能性もある。犯人と間違いないといえなかったら無罪」と訴えた。
起訴状によると、同被告は10年11月28日午前3時ごろから同5時25分ごろまでの間、ドメステッィクバイオレンス防止法に基づく女性への接近禁止命令に違反して、女性方周辺を徘徊し、アパート2階の女性方に玄関ドアかベランダの窓から侵入。次女の首を扇風機のコードで絞めて窒息死させ、室内にあった女性の仕事着2着に火をつけ、燃やしたとされる。
第2回公判は20日で、7月11日の論告求刑・最終弁論を経て評議に入る。判決は7月25日午後3時ごろの予定。 |