下関市彦島福浦町のアパートで2010年11月、保育園児の女児=当時(6)=が殺害された事件で、殺人などの罪に問われた同市向洋町、無職男(28)の裁判員裁判の第4回公判が25日、山口地裁(長倉哲夫裁判長)であった。現場アパート付近に同被告が吸ったとみられるたばこの吸い殻が落ちており、検察側は同被告が犯行時間帯に現場付近にいたと主張した。
警察は事件発生後、現場アパート付近から、同被告のものと同型のDNAが付いた3本の吸い殻を採取。同被告が吸い殻を捨てたとされる時間帯について、検察と弁護側の双方が争っており、検察側は起訴状で、犯行時刻を午前3時5分ごろから午前5時25分ごろまでの間としている。
事件発生前日の10年11月27日は午後10時15分ごろまで、現場付近で雨が降っていたが、アパートの階段付近で発見された吸い殻は雨に濡れた形跡がなかった。警察は同被告逮捕後の昨年6月、犯行当日と同じような気象条件を再現し、吸い殻の変色状況を確認する実験を実施。検察側はこの結果から、「同被告が事件発生日の午前3時5分以降にアパート周辺にいた」と結論付けた。
一方弁護側は、11月の事件当時の状況を再現する実験が6月に行われたことから、実験の条件が違っているとし、「本当に正確だったのか」と反論。弁護側はこれまで、同被告が事件当日の午前1時ごろ、アパート付近でたばこを吸いながら歩いていたと認めており、その際に捨てた可能性があるとしている。
第5回公判は27日で、アパートのベランダ手すりなどで見つかった足跡についての証人尋問などがある。 |