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最終更新:2012年6月30日(土) 3時30分

ネットで拡大、再稼働反対 官邸前に人の波

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 原発再稼働反対のデモが拡大しています。29日午後7時前、総理官邸の正面から数百メートルにわたり抗議活動をする人の波が続いています。デモの参加者が爆発的に増えた理由は、ツイッターやフェイスブック。「自分なりに参加する」、そんな新しいデモの形を取材しました。

 関西電力・大飯原発の再稼働反対を訴えるデモ。3月からほぼ毎週金曜日に行われ、29日で13回を数えますが、大飯原発の再稼/$O#2F|8e$N#77n#1F|$KGw$C$F$$$k$?$a!";22C
 「愛知から来ました。少しでも協力できればと」
 「夫婦で考え方が同じなので夫婦で参加した」(デモ参加者)

 そのころ、官邸では近い将来の原発への依存度を決める会議が開かれていましたが、デモの声は官邸の入り口付近にも届いていました。会議の後、官邸を出た野田総理は、SPに次のように漏らしたといいます。

 「大きな音だね」

 今回のデモ、主催者発表によれば参加者は20万人。特に最近の3回で急増しています。デモへの参加は、主にツイッターを通じて呼びかけられました。
 「6月29日18時から首相官邸前」

 ツイッターなどを使ってデモを呼びかける手法は、中東などで起きたいわゆる「アラブの春」と同じ。ただ違うのは、デモの中にファミリーエリアと呼ばれる一角があることです。ここに集まるのは、子連れの主婦やお年寄りたちだといいます。

 「孫を連れているのは珍しかったが、先週から増えた」(ファミリーエリアの参加者)

 一方、カメラが付いたパソコンを持ちながらデモに参加している人もいます。

 「今の状況を記録に残すと」(デモの様子を配信する人)

 デモの映像は、各地にリアルタイムで配信されていました。そのころ横浜市内では、配信されるデモの映像を一緒に見ようと、ママ友たちが集まっていました。

 「官邸前まで行くのは難しいが、こういう場があると“自分も何かしている気持ち”になる」(えりかさん)

 幼い子どもがいるので官邸前までは行けませんが、離れた場所からデモに参加します。気になっているのは、子どもたちへの放射能の影響です。

 「小さい子どもとか妊婦は、一番放射能の影響を受けやすい。もどかしい毎日で、ストレスを抱えながらの生活。それで手いっぱいで、デモという行動はなかなかできない」(32歳の女性)
 「ここに集まることで、(政府に)声が届くかどうかは分からないが、ここに集まっている人たちがいるということを発信することで、“デモに行けないけれども家で思っているだけの人”も、気持ちの部分で一緒になるかなって」(まどかさん)

 原発事故以前にデモに参加したことはありませんでした。自分たちの集まりや思いをフェイスブックやツイッターで発信します。

 大飯原発の3号機で再稼働に向けた作業が始まったのは今月16日。関電は、29日までに4件のトラブルを明らかにしています。関電や保安院では、再稼働の時期に影響はないと説明していますが、その再稼働はわずか2日後に迫っています。

 一方、総理官邸前のデモはますます人があふれかえります。
 「時速5キロ以下で、ゆっくり進んでいただいていいですか」(警察官)

 あまりの混乱ぶりに、主催者側は予定の午後8時を前にデモの解散を決めました。その解散の連絡が回ってきたのも「ツイッター」でした。ツイッターなどを使い、参加者が急増した今回の抗議行動は、新しいデモを生み出しました。

 「動員感覚が全くなくて、本当に自発的に人が集まっている感じ。今はインターネットを通じて、さまざまな形で個人が意見を出せる。そのときに4万人を超える人が集まるというのは特筆すべきこと。(インターネットは)情報共有するために非常に便利なツールとして使われている。インターネットがかなり良い形で相乗効果を持っている」(高崎経済大学・國分功一郎准教授)

 デモの終了後、参加者たちは霞が関をゆっくりと後にしました。(29日22:24)

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