−日記帳(N0.1665)2006年07月08日−
北欧を旅して思うこと(トイレ事情)
−日記帳(N0.1666)2006年07月09日−
北欧を旅して思うこと(休暇事情)


空港待合室の個室トイレ

北欧旅行中、一番困ったのはトイレの使用でした。北欧諸国のトイレは恐らく世界で最も広くかつ綺麗です。にもかかわらず困ったのは、まず男女兼用が多いことでした。ストックホルムからオスロにバスで移動中、あるコンビニ風の店のトイレを借用したのですが、そこには男女兼用のトイレが1室しかなかったのです。35人のツアー客全員がトイレの前に行列を作って順番を待つ破目になりました。

可哀想なのは私たち男性です。立ち便なら30秒も有れば済みますが、ズボンを脱いで便座に座るとどうしても1分以上かかってしまうのと、ついでに大きい方も出そうとすると更に時間がかかってしまいます。結局、女性と平等にお付き合いしたため最後尾に並んでいた私は40分も待たされ散々な目に遭いました。このように男女兼用のトイレが1室しかないのは、北欧では車椅子の人まトイレに入れるようにすることが義務付けられているためトイレを広くする必要が有る事情によるものと思われました。

結局、この店で全員が用足しするのに40分以上もかかってしまい、私の後に並んでいた現地の人たちは迷惑そうな顔をしておりました。何もトイレが1室しかないようなコンビニでトイレ休憩をするバスの運転手の判断ミスに尽きるので添乗員に注意したところ、運転手がノルウエー人でこの辺りのスウェーデンのトイレ事情を知らなかったとのことでした。このためオスロのホテルには1時間近く遅れて着くことになりました。

北欧では公共の場所やデパート等のトイレは有料制のところが多いので、トイレ休憩は無料のコンビニやガソリンスタンドで行なうことになっているため時にはこのようなケースも有り得るようです。北欧の有料トイレでは入り口のコイン投入口お金を入れないと中には入れない仕組みになっており、その料金は日本円で100円前後とのことでした。エジプトのように入り口に座っている恐い顔をしたオバサンに10円相当のお札を渡して引き換えに1メートル程度のトイレットペーパーを貰って汚いトイレに行くよりはずっとましです。

次に困ったのは男性用の立ち便用トイレでした。下の画像のように高いのです。私は170センチ以上有りますので辛うじて届くのですが、同行の背の低いツアー客男性は届かないため横にある大便用トイレで順番待ちしておりました。ある時、その大便用トイレが無いところで、どこから運んできたのかレンガのような踏み台の上に乗って用足ししている日本人を見ましたが、これではW杯サッカーに勝てるわけがありません。

背の高い北欧の男子用トイレ


次に困ったのは、北欧ではトイレの在室有無を確かめるのにドアをノックするのは礼儀に反する行為と添乗員さんに言われたことでした。ある時、ホテルのトイレに入ろうとしたのですがドアが閉まっておりました。飛行機のトイレのように「CLOSE」の表示が有れば在室を確認出来るのですがドアノブの状態だけでは確認できません。5分ほど待っていたのですがドアは開きません。止む無くドアノブを握って引っ張るとドアが開き空室でした。

次に困ったのはトイレの施錠でした。ヘルシンキ空港での出来事でした。同行のツアー客の女性がトイレに入ったまま10分経っても出てこないので添乗員さんがドア越しに事情を聞いたところ内側から掛けた鍵が開かないと言うのです。その後何とか開けることが出来ましたが、北欧ではトイレでのプライバシーを重視するためにトイレが頑丈に施錠されることが多いためこのようなことも起こるようです。

フィンランドには、トイレ室内を青く照明している場合が有ります。その理由は若者がトイレの中で隠れて麻薬注射をするのを防止するためです。腕の静脈は青色ですから青い照明下では静脈の位置が判り難くなるための処置ですが、フィンランドの若者の麻薬が社会問題になっている証拠でも有ります。このように、トイレ事情はその国の風俗・習慣・社会問題等を反映しているように思われ興味深く思いました。


ノルウエーのオートキャンプ場

北欧5ケ国の中でも特にノルウエーの豊かさはノルウエー人たちの長期休暇のとりかたで窺い知ることが出来るように思いました。その国の国民の豊かさはその国の1人当たりのGDPで凡そ示されます。ただ、一部の産油国のように王族などごく一握りの階層にGDPが寡占されている場合やルクセンブルグのように僅少な人口のもとで巨大製鉄産業が立地している場合などは、1人当たりのGDPは平均的な国民の収入を反映しているとは思われまっせん。

そこで、このようなケースに該当すると考えられるバミューダ、ルクセンブルグ、ギニア、UAEの4ケ国を除外して人口100万以上の国の1人当たりのGDPを調べたところ、次のようになりました。

 順位  国    名 GDP(/人)

  1位  ノルウエー     $ 42,300 
 2位  米     国    $ 41,800   
 3位  アイルランド    $ 41,000   
 4位  アイスランド   $ 35,600   
 5位  デ ン マ ーク  $ 34,600   
 6位  カ    ナ   ダ   $ 34,000   
 7位  香       港     $ 32,900  
 8位   オーストリア    $ 32,700 
 9位  ス   イ   ス    $ 32,300  
10位  オーストラリア  $ 31,900  
11位  日         本   $ 31,500  
12位  ベ  ル  ギ ー   $ 31,400  
13位  フィンランド   $ 30,900  
14位  オ  ラ  ン  ダ  $ 30,500  
15位  ド    イ    ツ  $ 30,400  
16位  英         国   $ 30,300  
17位  フ  ラ  ン ス   $ 29,900  
18位  スウェーデン   $ 29,800  
19位  イ  タ  リ ア   $ 29,200
実に、日・米・独・仏・豪・加・伊の先進7ケ国がランクされている19位の中に北欧5ケ国がランクされていることが判ります。それもノルウエートップ、アイスランドは3位、デンマーク5位で日本よりも上位にランクされております。ノルウエーは世界第三位の産油国で豊富な天然資源を有しており、その資産を国民一人当たりに換算すると、1億円に達することがこの国の豊かさの原資になっております。

北欧諸国に共通の国民性として貯蓄率が極めて低いことが挙げられます。ノルウエーの場合、年金が年収の70%で無収入で掛け金が払えない人でも65歳になると最低でも8万円の年金が保証されているので老後のために貯蓄する必要が無いからです。それに、人生は楽しむことが目的で、働くことはその手段でしかないとの人生観がノルウエー人に行き渡っているのでしょうか、彼等の長期休暇のとり方は我々日本人には想像も出来ないほどにスケールが大きいようでした。

上の写真はストックホルムからオスロにバス移動中に、トイレ休憩のために立ち寄ったオートキャンプ場ですが日本のそれとは様変わりしておりました。日本の場合、マイカーを乗り入れてその傍にテントを張ったり、バンガローを借りたりするのが普通ですが、ここではキャンピングカーを既設の豪華なバンガローに横付けしてドッキングさせ広々とした居住空間を楽しんでおりました。また共同のトイレを使わせて頂いたのですが、勿論無料で綺麗なものでした。

ガイドさんの話では、ノルウエーではごく普通の家庭で、キャンピングカー、別荘、クルーザーまたはヨットのいずれかは必ず所有しているとのこととでした。そして、待ちに待った白夜の夏至がくると、夏至祭をした後、1ケ月から2ケ月の休暇をとってバカンスを楽しむとのことでした。従業員に1ケ月以上の休暇を与えることが義務付けられておりますので、夏季の長期休暇は国民的行事とも言えるようです。

キャンピングカーを持っている人はキャンプして、別荘を持っている人は別荘で過ごしながら付近で釣りやドライブをして、クルーザーやヨットを持っている人はフィヨルドでクルーズして、それぞれに休暇を楽しんでおりました。夏休みを一家で里帰りして過ごす日本との違いに溜め息をつきながらバスの窓から長期休暇中のノルウエー人たちを見つめておりました。下の画像はフィヨルドや湖畔で見られるクルーザーやヨットの係留風景です。

クルーザーやヨットの係留風景

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