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レバ刺し7・1消滅を前に食べ納め殺到

 レバ刺しを食べたい-。厚生労働省が7月1日から、食中毒を防ぐために生食用の牛レバー(肝臓)の提供を禁止することに伴い、都内の焼き肉店では食べ納め客が急増している。東京都渋谷区の「ぱっぷHOUSE」には、1日130件以上の問い合わせが殺到し、店内は常に予約客で満席だ。総料理長の田中桃張さん(67)は「今月の売り上げは3割増」と話す一方、「来月以降の予約は1件もない」と嘆いた。また、7月からレバ刺しを“裏メニュー”で提供する店まで出現し、生レバー問題はまだまだ物議を醸しそうだ。

 レバ刺し消滅まであと2日。「ぱっぷHOUSE」の店内からは「レバ刺しちょうだい」「こっちも」と威勢のいい声が飛び交った。店内にある電話2台はひっきりなしに鳴り続ける。レバ刺しが席に置かれると、客は最後の雄姿をと思ってか携帯電話のカメラに収めた。田中さんは「レバ刺し人気は想像以上で、なくなれば客が離れ、焼き肉屋でなくなってしまう。7月からどうすればいいのか」と肩を落とす。

 同店では、レバ刺し(1000円)を提供するにあたり、衛生管理を徹底。毎日、処理された国産牛の生レバーを120度の熱湯で2分間殺菌、酸性水で洗浄した後、外側をそぎ落とした中心部だけを提供している。これまで食中毒などの事故は1度もなく「安全面に絶対の自信があるのに」と田中さんは話す。

 東京都食品監視課によると、同課が今年5月に行った監視では、都内の焼き肉店約2300店のうち、212店がレバ刺しを提供していた。提供禁止が正式決定した今月12日以降は、提供を続けている店舗に食べ納め客が急増。同店でも客数は先月に比べ2倍以上、注文は60人前(約12キロ相当)を超え、閉店前に売り切れることが多々あった。田中さんは「今月の売り上げは3割増で、まさにレバ刺しバブル。ユッケの時とは比べものにならない。でも、7月以降の予約は1件もなく、バブル崩壊が目に見えている」と落胆した。

 同店で、レバ刺し3人前にレバー焼きを注文した都内の会社員男性(33)は「レバ刺しさよなら記念です。まさか、こんな日が来るとは…。厚労省も(食中毒が多い)夏場だけ提供禁止をすればいいのに」と言い、名残惜しそうに生レバーの味をかみしめた。

 そんな中、厚労省の方針に反発し、東京・上野の某焼き肉店は、7月以降も常連客のみに“裏メニュー”としてレバ刺しを提供する。客には、レバ焼きとして注文してもらい、生で食べるかどうかは、客の判断に委ねるという。

 男性店主は「こっちだって生活がかかっている。提供禁止だから『出せない』なんて言ったら、常連さんとの信頼関係を失ってしまう」と説明。焼き肉店の人気メニューを巡る問題はまだまだ波紋を広げそうだ。【峯岸佑樹】

 [2012年6月29日8時13分 紙面から]







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