国際社会で日本が「潜在的核保有国」に分類されるのは、核保有国以外で唯一、核兵器に転用可能なプルトニウムを抽出、保管しているからだ。現在日本が保管しているプルトニウムは、日本国内に6.7トン、英国とフランスの再処理施設にある23.3トンの計30トンだ。原爆を数千個作ることができる量に相当する。北朝鮮が保有する核兵器転用可能な純度のプルトニウムは約30-50キロとされる。
日本が高度の核開発能力を保有すると考えられる根拠の一つが高速増殖炉もんじゅの存在だ。高速増殖炉は核燃料の再利用が可能という点で「夢の原子炉」と呼ばれる。ここでは核兵器に使用可能な97.6%の高純度プルトニウムが生成される。普通の原子炉から出る使用済み核燃料にもプルトニウムが含まれているが、軍事用に転用するには純度が低すぎる。
ソウル大原子核工学科の黄一淳(ファン・イルスン)教授は「高速増殖炉は使い物にならない天然ウランを兵器に使えるプルトニウムに変えることができるため、軍事用に使用可能だ」と指摘した。日本では、福島原発の事故以降電力不足ですぐには原発を廃止することができないにせよ、長期的には廃止すべきだとの声が高まっている。そうしたムードの中で、日本が高速増殖炉用の燃料を生産する青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場の追加工事を認可したのは、「潜在的核保有国」という地位を放棄できないという意思の表れだと受け止められている。
毎日新聞は最近、原子力基本法に安全保障条項を含めたのは、今後原発を廃止した場合、存在根拠を失う高速増殖炉もんじゅと六ケ所村の核燃料再処理工場の廃止論が出ることを防ぐことが狙いではないかと報じた。
■1960年代から高速増殖炉研究
日本は核燃料の再利用を名分に掲げ、1960年代から高速増殖炉の研究を開始した。核開発が目的ではないかとの疑惑が浮上したが、米国は冷戦体制でソ連と対決している状況を踏まえ、日本の計画を容認した。当時日本の高速増殖炉研究が核開発能力の保有を目標としていたことは、日本の外務省の内部文書「外交政策大綱」(69年作成)にも表れている。この文書には「当面核兵器は保有しない政策を取るが、核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャルは常に保持する。そのことへの干渉は受けない」と書かれている。