日本軍「慰安婦」写真展、東京で開催、写真家・安世鴻さん

70余年間の「恨」を解くために

日本軍「慰安婦」をテーマにした南朝鮮の写真家・安世鴻さん(41歳、名古屋市在住)の写真展「重重〜中国に残された朝鮮人元日本軍『慰安婦』の女性たち〜」が、6月26日から東京・新宿のニコンサロンで開催されている。連日、多くの人々が訪れている。

写真展には、2001年〜2006年まで7回にわたって中国各地をまわり、現地で暮らす朝鮮半島出身の元日本軍「慰安婦」の女性12人を撮影した約40点の作品が展示されている。日本軍に「慰安婦」として中国に連行れ、戦後に現地に取り残されたハルモニ(おばあさん)たちの70余年間にわたる孤独との死闘を、深いしわが刻まれた表情や日常光景を通して写し出している。

写真家・安世鴻さん(撮影=盧琴順)

安さんは「普通であれば、『歳月は薬である』(時が流れれば解決してくれるという意)のことわざのように暮らせたのに、日本軍性奴隷を強いられたハルモニたちの苦しみは筆舌に尽くしがたい。彼女たちの人間的な側面と元日本軍『慰安婦』被害者としての一面というぎりぎりの境界を注意深く把握し、歴史の真実を写真に留めようした。彼女たちの苦痛を多くの人々に伝えたかった」と話す。

今年1月、ニコンの選考委員会で作品が認められ、同会場での開催が決まっていた。ところが5月22日、会場を運営するニコンは、「諸般の事情を総合的に判断したため」との説明だけで安さんに写真展中止を一方的に通告。この対応に安さんは「納得のいく説明がなく、中止は受け入れられない」として会場使用を求める仮処分を申し立てた。そのうえで、6月22日、東京地方裁判所は会場を使用させるようニコンに命じる仮処分決定を出し、予定通り開催が決まった。しかし、ニコン側は現在も東京地裁へ保全異議を申し立て中だ。

日本のメディアによると、写真展の開催予告記事が掲載されると、ネット上で「売国行為」「ニコンの不買運動」などの投稿が相次ぎ、ニコンにも抗議電話多数寄せられたという。ニコンは「抗議はあったが中止とは無関係」(広報担当)としている。

この問題について安さんは、「写真文化を大切にするとうたうニコンが外圧で開催を中止することは全国の写真家に謝るべきだ」とし、「これは憲法で保障された『表現の自由』を侵害する行為」と厳しく非難した。

安さんは、過去清算問題と向き合わずに歴史をわい曲し、「国恥」を隠そうとする日本政府の対応とそれに賛同する保守勢力は、「真実を受け入れることを恐れている」と話す。

元日本軍「慰安婦」ハルモニたちを取材する際に、中国で様々なことを感じた安さん。母国語を忘れ、中国語しかできない恥ずかしさと悔しさを滲ませ、70余年間異国で暮らさざるを得なかった孤独感など、あらゆる感情が「恨(ハン)」となり、ハルモニたちは今も苦しみ続けているという。取材期間には12人中7人のハルモニが亡くなった現実に直面した。

安さんは高麗時代にモンゴルに連れ去られた女性たちの苦難や現在も世界の紛争地で起きている「民族浄化」や集団レイプなどの戦争犯罪にも言及しながら、女性の人権や尊厳を侵す犯罪を決して黙認してはならないと強調した。

そして、安さんは日本軍性奴隷制という戦争犯罪を知らぬ、存ぜぬと頬かぶりすることや「沈黙」することは、何人も許されないと指摘。そのうえで、表現の自由や報道の自由を主張する写真家たちが、この問題に沈黙するなら、日本の民主主義は死んだも同然ではないかと述べた。

ハルモニたちの「恨」を一刻も早く解くために、「写真展をきっかけに、これからも多くの人に歴史の真実を伝え、お互いに力を合わせて、日本政府に過去の清算問題を求めていきたい」と話した。

写真展は7月9日まで行われる。

(崔潤華)