「赤い悪魔」ことマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)に移籍が決まった日本代表MF香川真司(23)に〝ドルトムントの呪い〟がささやかれている。これまでドルトムントで大活躍して、他クラブに引き抜かれた選手の多くが、移籍先で好プレーを見せられないまま低迷しているのだ。果たして香川はマンUでジンクスを打ち破れるのか——。
ついに超ビッグクラブ入りを実現した香川に嫌なうわさが飛び交っている。ドイツに日本人を送り込む日本サッカー協会の公認選手代理人は「ドルトムントから移籍していった選手は活躍できていない。知っていた? あのヌリ・シャヒンでもダメだったでしょ」。
昨年5月にドルトムントからレアル・マドリード(スペイン)に移籍したトルコ代表MFヌリ・シャヒン(23)。ドルトムントで大活躍し、選手が選ぶ最優秀選手(MVP)に選出された。大争奪戦の末に移籍金1000万ユーロ(約10億円)でレアル入りしたが、負傷などもあり、ほとんど試合に出ることはなかった。
またドルトムントが1997年に欧州チャンピオンズリーグで優勝した際の立役者である元ポルトガル代表MFパウロ・ソウザ氏(41)もインテル(イタリア)に移籍すると活躍できないままチームを転々とした。またポーランド代表MFエウゼビシュ・スモラレク(31)も同クラブで大活躍して、07年にラシン(スペイン)へ移籍。ただその後は、なぜか不遇の時を過ごした。
ドルトムントはドイツ最大のサポーターを抱えており、活躍した選手が移籍することに反発するファンも多い。ドイツ人記者は一般論として「ドルトムントのサポーターは自分たちが選手を育てたという意識が強いから…」と明かすように、移籍選手が新天地で活躍できないのはファンの〝怨念〟が理由かもしれないと見られている。
しかもイングランドではまだ大活躍した日本人選手はいない。フラムなどでプレーした元日本代表MF稲本潤一(32=川崎)も大きな結果を残せていない。元日本代表MF中田英寿氏(35=引退)も05年から在籍したボルトンでレギュラーにはなれなかった。マンUに移籍する香川にとっては気になるジンクスに違いない。
香川は23日、マンUとの契約を終えて帰国し「歴史あるクラブで挑戦する権利を得た。日々が戦いになる。リスクはあるし(マンUに)加入した地位や名誉なんて考えていない。必ず勝ち取る気持ちでやる。結果を出したい」と改めて厳しい戦いを見据えた。
7月上旬にも英国マンチェスター入りし、入団会見に臨む予定だが、赤いユニホーム姿で、不吉な前例を吹き飛ばせるか。
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