春節からそろそろ街も目覚める頃かと思いきや、まだまだ人も車も少ない様子。
心なしか空気も澄んでいるように感じます。
船用品で取り扱う品種は数千品目から数万種類。実際に何万点の品物があるのか私自身も正確な点数は解りません。私自身に限らず、世界中の船具屋だって正確な数字なんか解るわけがありません。そりゃぁ身の回りの日用品からエンジン部品までありとあらゆる品物を取り扱うわけですから、どこまでが船用品の範囲として区切れるのかが非常に難しいからだと思います。フランジ一枚取っても、JIS規格やANSI規格に区分けされて行きますし、電球だって110Vなのか220Vなのかで物が全く違います。多種多様な品物と規格に収拾がつかなくなるのは私たち船具屋も当然ながら、これを発注する船員さん達だって当然収拾がつかなくなります。
そこで、これらを最低限でも規格化しようと、船具大手の某F社が数十年前に編さんし完成させたのが写真にあるSHIPS STORE CATALOG、通称「IMPAブック」です。現在では追記に追記を重ねて第5版まで発行されているようです。辞書の様に分厚いこの本に掲載されている品物で約4万点。当然この4万点が船用品の全てではありませんが、約8割くらいはこの本の商品でカバーが出来ます。これに記載されている全ての品物にはそれぞれ6桁の「IMPA番号」がつけられており、船員さんも私たち船具屋もこの番号で各品物を規格化しています。商品名が不鮮明でも、この番号さえ判れば商品が確定できるので、非常に便利です。
世界にはこのIMPAブックの他「ISSAブック」と呼ばれるヨーロッパで統一された規格本があるのですが、日本の管理船ではその殆どが「IMPAブック」を使って業務をこなしていることもあり私自身も詳しく解りません。世界的にどちらの規格がシェアを占めているのか解りませんが、いずれにしてもこのIMPAブックが日本の船舶業界の船用品と言う方面では圧倒的なシェアを占めていることだけは間違いありません。
IMPAブックの内容を眺めると、よくもまぁこれだけまとめ上げたなぁ、と関心するほどよくまとまっています。編さん社の某F社(日本企業)は世界でも有数の船具屋なのですが、個人はカスでも組織力と政治力で物事を推し進める某F社は反骨精神満ち溢れる私的には大嫌いですが、このIMPAブックに限っては、むしろ彼らの資金力と組織力でしか成しえなかった賜物と言えるかも知れません。
今では本船から本社への船用品の発注に、このIMPA番号の記載を義務付け、会社内の予算管理に役立てる船社も多いようです。かくいう私もこのIMPA番号を使って独自のデータベースを作成して各船の船用品管理をしているクチです。まぁ某F社様様ですねありがとうございますとてもすばらしいほんにいつもおせわになってます(棒読み)
しかしながら、このIMPAブックが万能かと言うと決してそうではないのがこの船具業。例えば、殺虫剤のIMPA番号「550624」(写真)との表記では実は品物が確定しません。その殺虫剤は「アースジェット」なのか「フマキラーA」なのか。いや、本当にいるんですよ。「俺はフマキラーしか使わねぇ!!!」って船員さんが。こればっかりは、船に何度も通って船員さんの好みを知る以外に対策はありません。