グランパスにとっては、開始20分で終わっているはずの試合だった。完璧に崩して早々にG大阪から2得点。出足の鈍いG大阪が「眠っていた」という面があったとはいえ、個々の能力の違いを、まざまざと見せつけた立ち上がりだった。
ただ、ケネディの高さと強さ、永井、金崎の速さに頼り過ぎたのが、勝ち点3を逃す要因の1つだった。ケネディも永井も、得意の形になれば、分かっていても止められないほどの武器を持つ。しかし、G大阪も何度も同じやられ方をしないように対応する。そういう時に緩急を使い分けた攻撃ができなかった。
初めて試合を見た人には、藤本や小川がどんな選手か分からなかったかもしれない。ほとんどボールに触っていなかったからだ。あまりにも展開が速くて、この2人の技術や、抜け目なさがまったく生きていなかった。
長丁場のリーグ戦を勝ち抜くためには、多彩な攻撃パターンを使えることが大事。ゆっくりする時間をつくって揺さぶりながらスピードアップすれば、攻撃はもっと分厚く、効果的になる。それが可能なタレントはそろっている。 (元日本代表、グランパスMF・望月重良)
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