憂楽帳:食の自由と安全
毎日新聞 2012年04月14日 西部夕刊
山から早蕨(さわらび)を取ってきた。大分県別府、由布市境の初モノ。まだ量は少ない。早速、あく抜きした。ワラビご飯か、おひたしにするか、舌なめずり。
貝割れに似た大豆スプラウトの余りを、会社の駐車場に植えてみた。山の腐葉土を与えるとぐんぐん大きくなる。横にトマトも植えた。楽しみ。
「食の安全には自前のものを」というわけではない。山菜が自生する土地だって、ひょっとしたら有害な物質を含んでいるかもしれない。そういえば2年ほど前、会社の駐車場に除草薬がまかれたこともあったっけ。「万一」を考え過ぎるとキリがない。だから野菜は中国産だろうと、東日本大震災被災地のものだろうと、おいしく頂く。
焼き肉店で生レバーを頼んだ。やや間があって「ありません」。3月末の厚生労働省審議会の提供禁止意見を受け自重したらしい。禁止の論拠は「牛肝臓内にO157が初確認された」。では、腸炎ビブリオが魚体内で見つかったら刺し身やすしは禁止になるんだろうか? 先の焼き肉屋。「何かあっても文句言いません」と言ってやっと出してくれたレバーは、甘みが塩ごま油で引き立てられ、絶品だった。【梅山崇】