Breakfast FX                                


2012年6
28日(木


6月27日終値
株式:独6228.99 +92.30 英5523.92 +76.96 米12627.01 +92.34
10年債:独1.560% +4.4bp 英1.688% +0.2bp 米1.621% -0.7bp
商品:金1577.50 +3.50  WTI 80.21 +0.75

EUサミットの公式日程は次のようになっている。時間は日本時間表示。
6/28
22時:ファンロンパイEU議会議長との意見交換
23:15~26時:ワーキング・セッション
23:15~翌5時:ワーキング・ディナー
その後、バローゾEU委員長の記者会見
6/29
17時~20時:ワーキング・セッション
その後、バローゾ委員長の記者会見
記者会見後に首脳によるワーキング・ランチ
記者会見:バローゾ、ファンロンパイ
各国首脳による個別の記者会見

昨夜、メルケル首相はドイツ下院で演説し、欧州当局が用意したドラフトを痛烈に批判し国際圧力には屈しないと明言している。債務共通化の提案が特に気に入らなかったようだ。一昨日にはメルケルは自分が生きているうちは債務共通化はないとまで言い切っている。この課題はドイツ以外のユーロ圏諸国が解決策としてもっとも期待しているものの一つである。

一方、官僚出身で選挙を経ずに選任されたテクノクラート内閣を率いるモンティ伊首相は、国内で緊縮財政策に対して頑迷な抵抗に直面している。前首相のベルルスコーニが抵抗勢力の旗振り役で、改革派のモンティ首相は追い詰められた状況にある。EUサミットでは上昇を続ける国債利回りの抑制策を何としてでも引き出して会合の成果を持ち帰らないと内閣崩壊の危機に直面するリスクがあり、合意が不十分なら月曜朝の市場オープンまで討議を続ける用意があると不退転の覚悟を述べている。

フランスでは国会選挙でも大勝した与党社会党の中で、ドイツがユーロ圏支配を強めていることへの強い懸念と抵抗があると言われている。メルケル・サルコジが作った財政規律への反感が強くいことがオランドが成長促進策を提唱している重要な背景になっている。独仏関係はサルコジ時代に比べてかなり悪化しているため、サミットでの主導権争いも絡んで複雑な状況になることもありそうだ。したがって予定されている程度の時間でほんとうに合意が形成できるのか不透明である。おそらく相当に延長されるものと想像される。

こののような背景もあってか、主要な欧州メディアはほぼ口をそろえたようにサミットは失望に終わるリスクが高いと予想している。市場センチメントも失望の方向に傾いているようである。このような状況で、もし何らかの成果が得られればマーケットがポジティブな反応をする余地は残されていると見る。しかし予想通り失望に終わった場合はとても「織込み済み」の反応とはいかないだろう。サミットで強固な感染防止の防火壁構築に失敗したとみなされればスペイン銀行システムからの預金流出が止まらなくなる可能性があり、早晩スペイン政府自体が救済に追い込まれるとの見方は根強い。スペインのソブリン救済の重大性はギリシャの比ではない。

市場がポジティブに評価する合意とは、ユーロ圏が預金保険や債務の共通化を図ることである。ドイツの財政支援が他のユーロ圏諸国を支えるという構図になることが肝要である。如何なる合意であれ、それが各国政府の独自財政によって実現する、言い換えればソブリンの赤字を増やすことで達成される措置ならばポジティブ評価はされないだろう。むしろネガティブ評価につながる可能性すらある。



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