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2012年6月28日(木)付

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民主党の混乱―問題は「果たせぬ約束」

マニフェストについて民主党が非難されるべきなのは「約束を果たさなかったから」ではない。「果たせない約束をしたから」である。分裂状態に陥った民主党で、小沢一郎元代表ら造反[記事全文]

東電国有化―まず企業風土を改めよ

東京電力の実質国有化が、株主総会で正式に決まった。下河辺和彦会長、広瀬直己社長のもと、新体制による経営がスタートする。しかし、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働などを前提に[記事全文]

民主党の混乱―問題は「果たせぬ約束」

 マニフェストについて民主党が非難されるべきなのは「約束を果たさなかったから」ではない。「果たせない約束をしたから」である。

 分裂状態に陥った民主党で、小沢一郎元代表ら造反議員は野田政権の「公約違反」を批判する。政権交代につながった09年総選挙の公約に消費税増税はなかった。たしかに「国民に対する背信行為」のそしりは免れない。いずれ総選挙で国民の審判を仰がねばなるまい。

 だが、野田首相に「約束を果たせ」と言いつのる小沢氏らは財源の裏付けのない「果たせない約束」をつくった責任をどう考えるのか。

 もう一度、民主党の公約を見てみよう。

 月2万6千円の子ども手当を支給する。月7万円を最低保障する新年金制度を導入する。提供するサービスははっきり書いてある。一方、財源については「むだの削減」といった、あいまいな記述にとどまる。

 最低保障年金を実現するには、「10%」をはるかに上回る増税が必要になることも、それにもかかわらず多くの人の年金が減ることも書かれていない。

 「負担増なしに福祉国家を実現できる」と言わんばかりの公約だった。

 その公約づくりを党代表として主導したのは、ほかならぬ小沢氏だった。子ども手当の額を上積みさせ、「財源はなんぼでも出てくる」と言い続けた。

 現実には、子育て支援の充実も年金財政の安定も、増税なしには困難だ。だからこそ、3代の民主党政権が苦しみ続けたのではなかったか。

 小沢氏は何をしていたのか。「むだを省けば、増税なしに財源をつくれる」というなら、具体的にこのむだを省けと政権に迫ればいいではないか。増税を試みた菅政権にも野田政権にも、そんな説得の努力をしたとはついぞ聞かない。

 小沢氏自身、増税なしには社会保障の維持さえできないことはわかっているはずだ。だから、細川政権時代に7%の国民福祉税を導入しようとしたのではなかったのか。

 いまさら「反消費増税」の旗を振るのは、ご都合主義が過ぎる。にもかかわらず造反議員らは「反消費増税」を旗印にした新党づくりを公言している。執行部は厳しい処分で臨み、きっぱりとたもとを分かつべきだ。

 「果たせない約束」を掲げて政治を空転させることを繰り返してはならない。次の総選挙に向けて、政治が国民の信頼を回復する道はそれしかない。

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東電国有化―まず企業風土を改めよ

 東京電力の実質国有化が、株主総会で正式に決まった。下河辺和彦会長、広瀬直己社長のもと、新体制による経営がスタートする。

 しかし、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働などを前提に、収支改善を目指す事業計画には無理がある。早晩、抜本的な見直しが避けられない。

 こうしたなかで、新生東電に求められるのは、原発事故の賠償を誠実に行うこと。そして、電力改革を先取りした事業再構築を進めることである。そのためには、企業風土の改革が不可欠だ。

 新しい東電はカンパニー制に移行し、火力発電や送配電を分社化する。東電に余力がないため、新規事業者やファンドとの共同運営をしやすくする。

 発送電の分離をはじめとする今後の電力改革を考えれば、望ましい体制だ。国費を入れる以上、効率化はもちろん、経費など部門ごとの情報公開も徹底しなければならない。

 なにより経営陣に自覚してほしいのは、国民が「東電は本当に変わるのか?」と刺すような目で見ていることだ。

 賠償交渉の遅れ、料金値上げでの不十分な説明、責任転嫁に終始する事故調査報告書――。事故から1年3カ月、東電の企業体質にはほとんど変化が見られない。

 民間の事故検証委員会も、事故に至る伏線として、独占に甘えた業界体質や縦割りの業務体制、トラブルを隠蔽(いんぺい)しがちな企業風土を指摘している。

 社員一人ひとりや個々の現場に、変化の芽がないわけではない。自己防衛に走る旧経営陣のもとでは身動きが取れなかったといえる。トップの姿勢、とりわけ東電内部から昇格した広瀬社長の責任は重い。

 新設される経営改革本部は、原子力損害賠償機構からの出向者と東電社員が半々、約30人の混成チームだ。志ある中堅や若手、外部の人材を登用し、改革の先頭に立たせてほしい。

 国は、東電にとって飛び抜けた大株主であり、巨額の資金提供者となる。一方で、原発を推進してきた当事者として共同責任も負う立場にある。

 賠償や除染などにかかる費用を考えれば、国が支援したお金を東電に長期にわたって返済させていく今の枠組みは虚構にすぎない。東電の温存は電力市場の活性化も阻害する。

 国は事故の後始末で国民負担が避けられない現実を直視し、東電処理の新たな枠組みづくりと電力改革に腰を据えて取り組まなければならない。

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