東海村臨界事故被ばく患者さんについて(第70報)
平成11年12月9日(木)
17:00
東京大学医学部附属病院
1.患者さんの臨床経過
- 血圧:116/47mmHg(昇圧薬投与中)、脈拍数:131/分、
呼吸数:30/分、体温:37.4℃(午後3時現在)。但し、収縮期血圧は110mmHgから190mmHgの範囲で大きく変動しています。高乳酸血症が更に進行し、血液は酸性に傾いています。この循環動態の変化から進行する敗血症性ショックが疑われます。
- 引き続き鎮静薬投与下、人工呼吸管理中です。
- 末梢血中の白血球数は、1,100/mm3です(午前6時現在)。
- 無尿が続いているため持続血液濾過透析を継続しています。
- 放射線による腸管の障害と皮膚の障害は続いています。相変わらず放射線熱傷の創から大量の浸出液があります。このため、大量の輸液、血液製剤の輸血を必要としています。
- 咽頭及び消化管からの出血と血球貧食症候群のために持続的に輸血を必要としています。
2.今後の治療方針
- 持続血液濾過透析を継続します。
- 引き続き、人工呼吸管理、感染症対策、栄養管理、輸液管理等のきめこまかな全身管理を行います。
3.その他
- 昇圧薬投与により血圧、脈拍等のバイタルサインは維持できていますが、一層、予断を許さない厳しい状態です。