東海村臨界事故被ばく患者さんについて(第64報)




平成11年12月3日(金)
17:00        
東京大学医学部附属病院  



1.患者さんの臨床経過

  • 血圧:165/70mmHg(昇圧薬投与中)、脈拍数:120/分、
    呼吸数:24/分、体温:37.4℃(午後3時現在)

  • 引き続き鎮静薬投与下、人工呼吸管理中です。

  • 末梢血中の白血球数は、5,400/mm3です(午前6時現在)。

  • 無尿が続いているため持続血液濾過透析法を継続しています。

  • 輸血による赤血球増加の程度が低いため、血球貧食症候群の診断のもとに本日、血漿交換を行いました。血球貧食症候群の原因として、ウイルス感染や肝機能障害による脂質代謝異常などが考えられますが、現在検索中です。
    (血球貧食症候群とは、マクロファージによって赤血球などが貧食される病態です。)

  • 肝機能障害は少しずつ改善傾向にあります。

  • 放射線による腸管の障害と皮膚の傷害は続いています。相変わらず放射線熱傷の創から大量の浸出液があります。このため、大量の輸液、血液製剤の輸血を必要としています。

  • 消化管からの出血が続いており、持続的に輸血を必要としています。

2.今後の治療方針

  • 新鮮凍結血漿の大量投与と持続血液濾過透析法を継続します。

  • 引き続き、人工呼吸管理、感染症対策、栄養管理、輸液管理等のきめこまかな全身管理を行います。

3.その他

  • 昇圧薬投与下で血圧、脈拍、呼吸等のバイタルサインは比較的安定していますが、予断を許さない状態は継続しています。