東海村臨界事故被ばく患者さんについて(第56報)




平成11年11月26日(金)
17:00         
東京大学医学部附属病院   



1.患者さんの臨床経過

  • 血圧:124/80mmHg、脈拍数:128/分、呼吸数:20/分、
    体温:39.0℃(午後3時現在)

  • 引き続き鎮静薬投与下、人工呼吸管理中です。

  • 末梢血中の白血球数は、5,900/mm3です(午前6時現在)。

  • 依然として放射線による腸管の障害と皮膚の障害が深刻な問題です。このため、大量の輸液、血液製剤の輸血を必要としています。

  • 相変わらず放射線熱傷の創から大量の浸出液があります。引き続き、他大学から提供して頂いた培養ヒト皮膚で熱傷創面を覆いました。

  • 下血の程度は薄くなりました(下血の量は午前零時から午後4時までに990g)。出血源は放射線による小腸、大腸のビランと考えられます。十二指腸にも放射線によると思われる出血性のビランが多発しています。

  • 原因不明の腹水も増加しています。

2.今後の治療方針

  • 放射線障害による腸管からの出血の止血に努めています。

  • 放射線熱傷創面を少しづつ培養ヒト皮膚で覆います。

  • 引き続き、人工呼吸管理、感染症対策、栄養管理、輸液管理等のきめこまかな全身管理を行います。

3.その他

  • 現時点でも相変わらず血圧、脈拍、呼吸等のバイタルサインは比較的安定していますが、依然として予断を許さない状態が続いています。