東海村臨界事故被ばく患者さんについて(第52報)




平成11年11月22日(月)
17:00         
東京大学医学部附属病院   



1.患者さんの臨床経過

  • 血圧:140/97mmHg、脈拍数:122/分、呼吸数:16/分、
    体温:37.6℃(午後3時現在)

  • 引き続き鎮静薬投与下、人工呼吸管理中です。

  • 腎機能はやや改善し、血清総ビリルビン値の上昇も止まりました。

  • 末梢血中の白血球数は、5,100/mm3です(午前6時現在)。

  • 放射線による腸管の障害と皮膚の障害が、深刻な問題です。このため、連日、大量の輸液、血液製剤の輸血を必要としています。

  • 相変わらず放射線熱傷の創から大量の浸出液があります。熱傷創面からの浸出液の喪失を防ぐために、更に培養ヒト皮膚を移植しました。

  • 下痢便の量は減りましたが、下血の程度がひどくなりました(午後3時までに640g)。出血源は放射線による小腸、大腸のビランと考えられます。

  • 原因不明の腹水も増加しています。

2.今後の治療方針

  • 放射線熱傷創面を少しづつ培養ヒト皮膚で覆います。

  • 放射線熱傷創の感染防止に努めます。

  • 引き続き、人工呼吸管理、感染症対策、栄養管理、輸液管理等のきめこまかな全身管理を行います。

3.その他

  • 現時点でも相変わらず血圧、脈拍等のバイタルサインは比較的安定していますが、依然として予断を許さない状態が続いています。