東海村臨界事故被ばく患者さんについて(第34報)




平成11年11月4日(木)
17:00        
東京大学医学部附属病院  



1.患者さんの臨床経過

  • 血圧:140/71mmHg、脈拍数:114/分、呼吸数:22/分、
    体温:37.7℃(午後3時現在)

  • 引き続き鎮静薬投与下、人工呼吸管理中です。

  • 呼吸機能には大きな変化はありません。

  • 腎機能障害の程度はやや改善しました。

  • 末梢血中の白血球数は、14,000/mm3です(午前6時現在)。

  • 高い線量の被ばくがあったと推測される皮膚及び粘膜の障害が大きな問題となっています。放射線熱傷の範囲は背部にまで拡大しています。

  • 筋肉に由来するタンパク質のミオグロビンの血中濃度が少しずつ上昇しています。

  • 放射線による腸管障害が原因と考えられる大量の下痢が続いています。(午前零時から午後4時までの間に1,580g)。

  • 依然として、明らかな感染症の徴候はありません。

2.今後の治療方針

  • 放射線熱傷創の感染防止に努めています。

  • 引き続き、人工呼吸管理、感染症対策、栄養管理、輸液管理等のきめこまかな全身管理を行います。

3.その他

  • 広範囲の重篤な放射線熱傷があり、いくつかの臓器機能の障害も加わって、依然として予断を許さない状態が続いています。